開発の場でも仕事の効率を上げ、生活の質を高めるフレキシブルワーク

働き方改革の重要性が高まり、ワーク・ライフ・バランスが推進されるなか、
多様な働き方の一つとして注目されているフレキシブルワーク。
CAD(コンピュータ支援設計ツール)や現物を使った作業が多く、
フレキシブルワークが難しいと言われるハードウェア設計担当の3人に、
フレキシブルワークの利用状況や感想などを聞きました。

  • ソニーのフレキシブルワークは、多様なバックグラウンドを持つ社員が、それぞれの限られた時間を最大限活用し、組織の業務効率向上、社員個人の生産性・アウトプット向上を実現することを目的とする勤務制度です。オフィス外の勤務として、「1.在宅勤務」、「2.サテライトオフィス勤務」、「3.モバイル勤務(出張・外出・直行直帰)」の3つの働き方があります。
小西 隆哉
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 コア技術第1部門機構設計1部5課 統括課長
松橋 勇輝
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 コア技術第1部門機構設計1部5課
永瀬 友美
ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ株式会社 コア技術第1部門機構設計1部1課

時間の使い方に幅ができ、できることが広がった

小西:私は在宅勤務やモバイルワークを含めフレキシブルワークを月に数回程度利用しています。母の介護もありますが、その他には子どものイベントに参加するなど、家族と接する時間を作るために使っています。育児期有給の時間使用と組み合わせて、年3回の小学校の授業参観にも、ほとんど出席しています。子どもの成長や教育環境を自分の目で確認できるのがいいですね。授業参観に来ているお父さんは少ないのですが、こういった制度を利用すれば男性も行きやすくなるんじゃないかと思います。

松橋:私もフレキシブルワークを利用しています。小西さんのように授業参観などで使ったことはまだありませんが、共働きの妻が出張でいないとき、子どもの保育園の送り迎えをするのに利用しています。会社にいるときは、昼休みに自分の席でお弁当を食べたあと、ぼんやりと過ごしてしまうことが多いのですが、フレキシブルワークの日は、その時間で食器を洗ったり、朝干せなかった洗濯物を干したり、効率よく時間が使えます。圧倒的に時間の融通が利きますし、自由に使える時間が増えるので、もう少し利用頻度を増やしてもいいかなと思っています。

永瀬:私も、松橋さんと同じで定期的な頻度で利用しています。私は趣味でダンスをやっていて、仲間は学生など社会人ではない人がほとんど。自然と平日に練習することが多くなるので、フレキシブルワークを利用するまでは、2時間の練習に参加するために有給休暇を取るか、諦めて練習を休むかしかありませんでした。でも、フレキシブルワークを利用すれば、平日の練習にも参加できます。とても便利なので、もっと積極的に使いたいと思います。

小西:私はまだ趣味のためにフレキシブルワークを使うことは、できていませんね。テコンドーやレーシングカート、サバイバルゲームなどは、主に週末やノー残業デーにやっているんですけど、丸一日かかる趣味なのでフレキシブルワークではやりにくいんです。平日だと場所が空いていたり、料金が安かったりするので、本当は平日にできるといいんだけどね。

永瀬:趣味によっては難しいかもしれないですよね。ヨガなど自宅の近くで短時間でできるものなら行けます。家の近くのヨガスタジオは平日のレッスンが多いのですが、フレキシブルワークの日なら夕方に気軽に行けます。

松橋:私もまだ趣味には使っていませんが、使ってみたいという希望はあります。先週末、仕事前に趣味の乗馬ができるか試してみたんですが、朝5時半に家を出て、2時間ほど乗馬をして、9時前には家に着いていました。これならできるって思いましたね。まだ筋肉痛が残っていますが、通勤の疲れとは全く違う、爽快な疲れ。このあとならいい仕事ができるんじゃないかと感じました。フレキシブルワークを使うと、時間の使い方を考えるようになります。奪われていた時間が戻ってくるようで、あれこれやりたいことが湧いてきます。

小西:時間の使い方に幅ができて、自分ができることの幅も広がるよね。家のことや家族のことなど、今までできなかったことができるようになるのがうれしい。私は家がオフィスから遠いので、フレキシブルワークを取得するときは1日単位になるけど、家が近くなら時間単位で取ることもできるから、もっと有効に時間が使えるようになるんじゃないかな。近くに事業所があれば、そこのサテライトオフィスを利用することもできるしね。

松橋:私は通勤に往復3時間かかるんですが、フレキシブルワークをすれば、丸々その時間が家事や子どもの保育園の送り迎えの時間として使えます。通勤時の精神的負担がなくなるのもメリットだと思っています。遅刻するかもしれないというストレスがないのがいいですね。

永瀬:私の通勤時間は片道40分ぐらいで、それでも通勤時間がないだけで楽だと感じているので、お二人はなおさらだと思います。起床して15分後には仕事が始められます。起きて、顔洗って、歯を磨いて、よしやるかで15分。速い!

厚木テクノロジーセンターのサテライトオフィス。フレキシブルワークのほか、出張中の社員も活用している

エンジニアでも工夫次第でフレキシブルワークは可能になる

小西:ソニーは全社的にはフレキシブルワークの利用は増えていますが、実は、開発部門の社員のフレキシブルワーク利用率が、他の職場と比べるととても低いそうです。企画職や事務職の社員はよく利用していると聞いていますが、それはツールとしてノートパソコンがあればできる仕事が多いからだと思うんです。私たちはデジタルカメラの機構設計の仕事をしていますので、実際に部品を見たり、CADを扱ったり、自宅ではできない仕事があります。また、数人のグループで1台のデジタルカメラを設計するので、それぞれが担当している部品の結合部などは、その場で話し合いながら進めたほうが効率がいい場合もあります。

松橋:だからこそ、フレキシブルワークを取得するときは、タスク管理が重要なんだと思います。会社でしかできない仕事と、自宅でもできる仕事を振り分けて、なおかつ、会社でしかできない仕事の中から、自宅でもできる仕事を切り出す。それを考える過程がとても大事で、毎日の仕事にも自ずとメリハリがつきます。仕事に対する意識も変わるので、計画的に継続してフレキシブルワークを取得するのは有効だと思いますね。

小西:松橋さんのようにスケジュールやタスクの管理ができれば、工夫次第で開発職でもフレキシブルワークを利用することは可能なんだよね。 月1回程度なら、家でできる仕事はたくさんあるよね。エクセルでの解析とか、資料を作るとか。

永瀬:ありますね。私もそういう作業をフレキシブルワークの日に一気にこなしています。フレキシブルワークは個人作業に向いていますよね。他の部署の人に話しかけられたりすることがないので、ひたすら集中したいときには、すごくいいと思います。効率がいいし、スピードも断然速い。

松橋:逆にデメリットに感じるのは、さっき小西さんが言っていた、現物にすぐ触れないこと。現物を見なくてもできると思って持ち帰った仕事なのに、いざやり始めると現物が確認したくなって、結局できなかったという歯がゆい経験もありました。ネットワーク環境やCADが使えないという問題もありますが、解決の余地はあります。他にデメリットは感じませんね。

小西:私はリビングで仕事をしているので、夕方子どもが帰ってきたときに集中するのが難しいということはありますね。私の課のスタッフと電話でやりとりをしているとき、後ろで子どもがうるさくしていると、どう思われているのか気になることはあります。ただ、私は会社では会議室にいることが多いので、相談したいときに捕まえるのが難しいけど、フレキシブルワークの日はオンラインコミュニケーションツールですぐ捕まるから、スタッフも仕事がしやすいと思うんだよね。

松橋:すぐに捕まるし、声もかけやすいです。

永瀬:オンラインコミュニケーションは2、3人でのやり取りには便利なんですけど、会議への参加はまだ課題がありますね。先日会議にオンラインで参加したとき、私以外の参加者は全員会議室にいて、会話をしながら議論していたんですが、コメントを入れるタイミングを逃してしまい、話の流れについていけなかったことがありました。

小西:実は私も、会議のオンライン参加で、場の雰囲気が読めなかったことがあった。オンラインだとワンテンポ遅れるから、誰に対して話しているのかもわからなかくなる時もあるよね。フレキシブルワークでの会議は、実際はまだちょっと難しいね。コミュニケーションツールが進化したり、オンライン参加者がもっと多くなれば、運営方法も変わって、今よりもやりやすくなると思うけど。

松橋:オンライン会議が浸透してくれば、ツールももっと進化すると思います。運営も、オンライン参加者がいることを前提に会議を行えば、もっとスムーズになるのではないでしょうか。

ある日の在宅勤務の様子。集中できる環境で、解析や資料作成などの個人作業を一気にこなす

フレキシブルワークは、仕事の成果が意識できる

小西:フレキシブルワークをする日は、始業時と終業時にメールで連絡するのがルールです。また、常に連絡が取れることが条件なので、昼食などで席を外すときもメールで連絡することになっています。とはいえ、在宅勤務中は働いている様子が見えないので、マネジメントとしてはどちらかというと、社員の働きすぎや過労などが心配です。例えば、終業報告後に仕事をしていても、わかりませんので。フレキシブルワークを行う前は、その逆で「社員が怠ける、能率が下がる」ことを心配する声が聞かれましたが、実際にやってみると予想以上にそういったトラブルは無く、現在ではポジティブにとらえているマネジメントが増えていると感じています。

松橋:私も、胸を張れるアウトプットを出さなければならないというプレッシャーの方が大きいですね。いいプレッシャーの方が多くて、それがいい成果を出すことにもつながっていると思います

小西:効率よく仕事をしてほしいから、会社はフレキシブルワークを認めているわけです。さっき永瀬さんが言っていたように、他部署の人に声をかけられるといった影響がなく仕事に集中できて、結果を出してくれるのはマネジメントとしては大歓迎だし、とてもありがたいことです。みなさんがフレキシブルワークの意味を正しく理解して、いい形で利用しているからだと思います。

働き方の選択肢が1つ増えるということ

永瀬:私はフレキシブルワークを使ってみて初めて、そのメリットに気づくことができました。だから、もしかすると開発の現場では、一回も取得せずに自分には必要がないと思っている人も案外多いんじゃないかと思いますね。最初に取るときは、ちょっとハードルが高いと感じるかもしれません。でも、一度取ってしまえば、フレキシブルワークの良さや便利さがわかるし、取りやすくなると思うので、みなさんももっと気軽に使ってみてほしいです。

松橋:フレキシブルワークを利用するかしないか、自分に合うか合わないかは、何度かトライしてみて判断すべきだと思います。1、2回利用しただけで効率が悪いとか、自分には合わないという判断は早いと思うんです。また、フレキシブルワークを利用しない理由に、心の問題もあると思っています。会社にいることで仕事をしているという安心感を得てしまっていると、会社を離れて自宅で効率よく仕事をすることは難しいのではないでしょうか。そういった意識を変えるためにも、何度か継続して取得し、工夫をすることが必要だと思います。

小西:今、松橋さんの話を聞いて思ったことは、フレキシブルワークに一歩踏み出せない人は、そこでやるべき仕事がわからないのではないかということ。そんな人は、出張に行くつもりでやってみたらいいんじゃないかと思うんです。出張に行くときは、出先でできない仕事があるから、計画的にその準備をするけれど、そんなふうに事前に自宅でやる仕事を決めてから取得すれば、効率的に仕事ができるようになるんじゃないかな。日帰り出張に行くような気持ちで取得してみてほしいと思いますね。
フレキシブルワークは生活の幅や豊かさを広げる手段にもなるので、もっと柔軟に利用できるような働き方がより広がればいいなと思います。

3人のタイムスケジュール例
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