新しい農法によって、豊かな生態系をつくる。

協生農法

協生農法とは、有用植物が育つ生態系を人為的につくり、食料を収穫しながら生物の多様性を豊かにしていくSony CSLによる取り組みです。すでに国内外の実証実験で大きな成果を出しています。人間の考えだけでは解明が難しい複雑な生態系を、AIの力で理解し、さらなる取り組みに役立てようとしています。

舩橋 真俊 ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)

舩橋 真俊 ソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL)

食料を生産することで、自然を豊かにしていく。

食料を生産すればするほど、いろんな生き物、植物、動物、微生物が増えて豊かな生態系が生まれる。それが協生農法です。さらに、我々がいろいろな社会的活動や産業活動などを行っていくことが、自然環境や生物を豊かにしていく。そんな、文化的多様性と生態系の多様性が、相互に循環するサイクルを目指しています。

食べることができたり、資材として使えたりする有用植物は地球上に3万種類以上知られていますが、現在の農業は特定の作物を作ることに偏っています。そのため、地球規模で自然環境を壊したり、生物多様性を損なうという影響が生じています。こうした問題を解決するため、ソニーコンピュータサイエンス研究所では2010年から協生農法プロジェクトをスタートさせており、既に国内外の実証実験から様々な成果が生まれています。

複雑な生態系の把握にテクノロジーでアプローチ。

協生農法を実際に行う前に、考えなければならないことが膨大にあります。どういう植物を植えようか、何と植え合わせようか、その後にどうやって植生遷移させていこうかという、組み合わせがものすごくたくさんあるのです。それを学んでいくとき、もしくは人に伝えるときに、ビッグデータ解析やAIというものが非常に強力で直接的なツールになります。我々は動物の身ですから、植物がいったいどうやって育とうとしているのか、生態系がどうやってうまく物質循環させていこうとしているのかなんてすぐには分かりませんよね。そこで環境や多様な生き物たちを様々なセンサーを通じて計測することで、生態系がいまどういう状況になっているのか、非常に解像度や集約度の高い情報を得ることができます。それを情報処理することで、人間にも分かる形にすることが可能だと考えています。

人とAIが寄り添って共に成長していく。

AIというのは人間の知的機能を突出させた機械だと言えます。そのため人間を疎外するようなことも心配されていますが、それ以上に人間の良き伴侶となって助けてくれる可能性があります。よくAIと人間の能力が比較されますが、私はAIと社会制度を比較しています。集合的な意思決定、政治であるとか経済システムであるとか、そういう一個人が到底太刀打ちできないスケールのデータ量に対してAIはものすごいパワーを発揮し、非常に強力な助っ人になり得ます。そうなれば、人とAIが共に成長していけますよね。そして成長した人間が使うAIは、未熟な人間が使うAIとは、全く質が違ってくる。つまり、人とAIが二人三脚でさらに発展していく社会が作れるんじゃないでしょうか。まさに、協生農法は文化を作ることであり、それを支援するテクノロジーがAIなのです。

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