移動を最適化していく。

みんなのタクシー - S.RIDE / 需要予測

みんなのタクシー株式会社は、合計約10,000台を保有する東京のタクシー会社5社と、ソニーペイメントサービス、そしてソニーによるジョイントベンチャーです。タクシー利用者向けアプリ「S.RIDE」や、タクシー運転手向け需要予測システムの提供など、AIをはじめとするテクノロジーによって安心安全で移動体験を実現するとともに、都市の問題や高齢化の問題にも向き合っていきます。

右田 隆仁・橋本 洋平 みんなのタクシー株式会社 モビリティサービス部 ソニー株式会社 AIロボティクスビジネスグループ クラウドサービス開発部

右田 隆仁(写真左) ソニー株式会社
AIロボティクスビジネスグループクラウドサービス開発部

橋本 洋平(写真右) みんなのタクシー株式会社
モビリティサービス部

Simple・Smart・Speedyにタクシーを呼べる「S.RIDE」。

橋本:例えば都市では、平日の朝、雨が降るとタクシーに乗りたくてもなかなか乗れないことが多いです。また自家用車が人の移動の要である地方では、運転免許を返納した高齢者が生活必需品を買いに行けず困っていることがあります。そこで、みんなのタクシーではソニーのAIをはじめとしたIT技術やこれまでの事業から得られた知見により、安心安全で効率的な移動体験を目指した取り組みを開始しました。第1弾としては、スマートフォンのアプリからタクシーを配車できる「S.RIDE」というタクシー利用者向けサービスを2019年4月に東京23区と三鷹市、武蔵野市からスタートさせました。ソニーのエンジニアやデザイナーが開発したシンプルなUIにより、ワンアクションで近くを走っているタクシーが、すぐに迎えに来てくれます。目的地到着時に煩わしい現金支払いなどをせずに、アプリに登録したクレジットカードからネット決済が可能となり、スマートに降りることができます。今後はお客様やドライバーの声を踏まえ、さらにサービスを進化させていくつもりです。

AIでタクシー利用客を見つける「需要予測」。

右田:みんなのタクシーでは、タクシー利用者に「S.RIDE」を提供する一方、タクシー運転手へも安心安全で効率的な運転サービスをサポートする技術提供も始まろうとしています。その第1弾がソニーR&Dチームと共に開発した「需要予測」サービスです。需要予測は細かいエリア単位に分割し、特定時刻における乗車数を予測、どこでどれほどタクシーの需要があるかを運転手に知らせるものです。提携するタクシー会社では約10,000台にも及ぶ車両の動態データを保有しており、このデータを活かし機械学習により予測システムを構築しました。一方で、その結果をタクシー運転手にどのように見せ、伝えればいいかは非常に難しく、運転手の生の声や意見を取り入れ、実証実験を何度も繰り返し改善を重ねました。予測した「どこに行けば乗客が多いか」という情報に加え、降雨状況や、交通機関の状況、周辺で行われるイベント開催予定といった、タクシー需要に関係する情報とともに運転手に知らせるアプリを開発しました。もちろん、それらの情報は需要予測の機械学習にも用いています。他にも、長距離利用客がどこで見つけやすいか、何台の空車がその付近を走っているかといったことまで分かるようにし、実際にシステムを利用したタクシー運転手たちからは好評を得ています。

MaaS(Mobility as a Service)をはじめとした「移動」の変化。

橋本:タクシー乗車前にアプリ上で乗車運賃を確定させる「事前確定運賃サービス」が、2019年10月1日から始まる予定です。これにより、タクシーに乗って渋滞や遠回りされたことで想定以上の運賃になるのを防ぎ、事前に運賃が分かることの安心感でタクシーの利用が拡大することが予想されます。もちろんみんなのタクシー「S.RIDE」もこれに対応していく予定です。さらに「相乗りタクシー」を解禁する検討も進められています。今後は電車やバスといったタクシー以外の交通機関との連携も進むでしょうし、貨客混載と言われる「人」だけでなく「物」の運搬との関わりも進んでいきます。「移動」の世界では、AI技術の進化と共に、今後5年から10年で大きな変化が起ころうとしています。

右田:タクシー運転手との「需要予測」を使う実証実験では、売上アップすることが実証できました。かつてタクシー運転手は道に詳しくないと務まりませんでした。今ではカーナビゲーションがあるので多少道を知らなくても多くの運転手が働けるようになりました。それが、これからはAIやセンシングをはじめとした技術によるサポートで安心安全に運転でき、効率的に営業できるようになると思います。「移動」の分野が先端技術によってどんどん変化していくことは間違いありません。

「移動」が効率化され、新たなサービスが生まれる。

右田:実は現状のタクシーは空車の状態で走っている時間の方が長いのです。「需要予測」を使うことでその空車時間が減り、効率を上げられると考えています。また、この技術を応用し、タクシーだけではなく、自動車や自転車のシェアリング、鉄道やバスといった公共交通機関などに広げていくことで、移動手段全体の最適化が実現され、人々は社会生活の中でより効率的にスムーズに移動ができるようになると思います。さらに「人」の移動だけでなく「物」の移動への応用も進んでいくでしょう。我々はこうした形で、都市の問題や高齢化の問題にも向き合っているのです。

橋本:ソニーには素晴らしいイメージング技術やセンシング技術があります。タクシーにこうした技術を搭載することで、安全運転支援や次世代モビリティサービスへの応用が期待できます。24時間365日あらゆる所を走っているタクシーに取り付けたセンサーから得られる情報は、画像解析による安全運転支援への応用による交通事故の減少や、その先のモビリティサービスへの応用といった点で、まさに社会インフラと言えるだけの価値があります。そして、移動体の未来を考えるうえで無視できないのが自動運転です。例えば、AIが支援する自動走行車が、家、駅、公共施設など街中を巡回し、人々や物資を安心安全に目的地まで効率的に運んでくれるモビリティサービスも近い将来実現されるのではないでしょうか。

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