ウェブ技術の標準化団体W3Cの
Advisory Boardに五十嵐 卓也が就任

HTML/CSSやJavaScript API、XMLなど、ウェブに関する技術の規格化を行う標準化団体ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C:World Wide Web Consortium)。ソニーは長年に亘りW3Cでの標準化活動に参加してきましたが、ソニー R&Dセンター Tokyo Laboratory 22(兼務 スタンダード&パートナーシップ部)五十嵐 卓也が、2020年7月にW3CのAdvisory Board(諮問委員会)に就任いたしました。
五十嵐より、ソニーのこれまでのW3Cでの活動や、今後の貢献への展望についてご紹介します。

W3Cとは:
1994年10月1日、Webで使用される技術を標準化し、よりスムーズな開発や品質向上・互換性維持を目標として、国際標準化団体W3Cが設立された。
W3Cは米国のMIT Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory(MIT CSAIL: マサチューセッツ工科大学計算機科学人工知能研究所)、フランスに拠点を置くEuropean Research Consortium for Informatics and Mathematics (ERCIM: 欧州情報処理数学研究コンソーシアム)、中国のBeihang University(北京航空航天大学)、および日本の慶應義塾大学によるホスト組織によって共同運営されており、ホスト組織に所属するフルスタッフ、およびW3C会員組織から構成されている。2020年8月6日時点で、W3Cには、世界中の企業、大学、研究機関から426の組織が会員として加盟している。
W3Cの組織構造は、運営統括するCEO Jeffrey Jaffe氏、ウェブの発明者Sir Tim. B. Lee氏が務めるDirector、ウェブアーキテクチャの合意形成とそれに関わる技術課題の解決を担うTechnical Architecture Group(TAG)、W3C の戦略、経営、法務そしてプロセスの課題について議論し、運営への提言を行うAdvisory Board(AB)、加えて、標準化活動を担当する各Groupで構成される。TAGおよびABのメンバーは、会員組織の代表者による全員投票により選出され、TAGとABのメンバーは任期2年で各10名程が就任する。

Advisory Boardに選出された経緯

W3Cには日本からも大手情報通信企業を中心に46組織が参加していますが、これまで夏野 剛さん(ドワンゴ代表取締役社長CEOなど、元NTTドコモ執行役員)、岸上 順一さん(慶應義塾大学 政策・メディア研究科特任教授など、元NTTサイバーソリューション研究所所長)がABに選出され活躍してきました。今回、私は5月の選挙に立候補し、改選により選出された5名のうちの1人となりました。

W3Cでの五十嵐のこれまでの活動

私は、2010年からW3Cの標準化活動に参加し始めました。当時、HTML5が注目されており、ハイブリッドキャストなど放送の対話型サービスへのHTML5応用や、動画サービスの帯域適応ストリーミングの規格化の議論が始まっており、Web and TV Interest Groupの設立に携わりました。ウェブのMedia技術の標準化に継続して携わりながら、2017年からはWeb and TV Interest Groupの後継のMedia and Entertainment Interest Groupの共同議長を務めております。また、ソニーグループからW3C標準化に参加している方の活動のサポート、ならびにW3Cのソニー代表を10年間担当しています。

W3Cに参加するソニーグループの組織

私が所属するR&DセンターからMedia and Entertainment Interest Groupに参加してきたほか、これまでにソニーモバイルコミュニケーションズからはIoTに関するDevice & Sensor Working Group、それ以外では電子出版、デジタルサイネージのGroupへの参加がありました。現在はソニー・インタラクティブエンタテインメントがWeb Applications Working Groupに参加し、GamePad APIの規格化を行っています。

W3Cでのその他の標準化活動

W3Cには、ブラウザに実装されるHTMLをはじめ、さまざまなウェブ技術の規格化を行うグループがあります。例えば、障がいのある方々のためのウェブアクセシビリティガイドラインの策定や、セキュリティ技術の策定などウェブでの共通技術を担当するグループもあります。また、AR/VRなどのImmersive Web、IoTデバイス接続のためのWeb of Things、ファイナンスの支払い認証のためのWeb Paymentなど、専門的な技術を担当するグループもあります。最近ではブロックチェーンを利用した分散アイデンティ管理やマシンラーニングなどの活動も始まっており、ウェブを利用する技術であれば、興味がある人が集まりコミュニティーを形成してあらゆるものの標準化議論が行われています。

2019年に福岡で開催されたTechnical Plenary and Advisory Committee(TPAC) Meetingsの様子

W3C標準化に貢献する意義

1995年頃に始まったインターネットの普及とともに、情報アクセスの手段としてウェブは人々の生活に不可欠な社会インフラとなっています。ソニーにとっても、お客様への情報発信を始め、CRM(顧客関係管理)などのバックエンド業務、音楽、映画などのコンテンツ配信ビジネスなどプラットフォームとしてウェブは利用されています。W3Cへソニーが参加する意義としては2つあります。1つは、今後も技術革新を進めるためにW3Cでの標準化を支援する意義。もう1つは、ソニーが得意とする差異化技術やビジネス領域に対して、他社を巻き込んでオープンイノベーションを図る場としてW3Cの標準化を活用する意義です。世界の大手IT企業は後者のアプローチで積極的にW3Cの場を活用していますが、ソニーも後者の取り組みを積極的に進めることで、プラットフォーム戦略としてW3C標準化の活用を検討していきます。

Advisory Boardとしての抱負

W3Cは25年以上続いている国際標準化団体ですが、時代に合わせた運営となるよう改善を進めています。例えば、4つのホスト組織から独立してW3Cを法人化する計画がありますし、標準化プロセスを改善して、ソフトウェアアップデートによる革新やセキュリティ対応を迅速にできるように検討しております。これらW3C運営改善について、他のABの皆さんと協力して進めていきたいです。また、個人的には、唯一の日本人ABでもありますので、日本の組織がW3Cのような国際標準化の場で活躍するのを支援していきたいと考えております。特に、世界の大手IT系の企業と同様に、日本からも多くの若い世代のエンジニアがW3Cの標準化活動に参加できるような方策を提言していきたいです。

メッセージ

スマートフォンの普及により、ブラウザだけでなくモバイルアプリからも様々なサービスにアクセスできるようになりました。モバイルアプリの多くはウェブ技術を利用しており、ウェブはインターネットを介して情報にアクセス、情報共有をするプラットフォームとして、ますます重要になってきています。

また、ウェブ技術はW3Cというオープンな国際標準化団体において規格策定が行われており、世界中のIT企業が参加し、技術議論を行っている無二の場でもあります。W3CのWeb技術標準化活動をソニーグループとして支援し、ソニーのオープンイノベーションに繋げて行ければと考えています。

<スタンダード&パートナーシップ部担当役員、常務 御供 俊元のコメント>

Web技術の有識者として五十嵐が社内外から認められ、ソニーからIT標準化団体W3Cの諮問委員会へ代表として送り出す事が出来るのは大変光栄なことです。今後ソニーグループから、更なるW3C標準化への参加を行うとともに、ソニーの技術力でIT領域へ貢献していきたいと考えています。