ソニー ESG/テクノロジー説明会
副社長 勝本 徹「テクノロジーへの取り組み」

皆さま、こんにちは。勝本でございます。
昨年、ソニーのテクノロジーをご紹介する初めての試みとして、「Technology Day」を開催しました。 私からは、Technology Dayのアップデートも含め、 ソニーグループの多様な事業活動におけるテクノロジーの貢献についてお話させて頂きます。

ソニーの Purpose、そして「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」というIdentity において、「テクノロジー」は重要なキーワードです。 また、「テクノロジー」は「人材」と並んで、ソニーの長期的な価値創造を 支える最も重要なマテリアリティです。

ソニーは幅広い事業ポートフォリオを有していますが、これらすべての事業の軸は「人」であり、経営の方向性は「人に近づく」です。
この経営の方向性のもと、「人の動機に近づく」、すなわちクリエイターとユーザーの動機に近づく「テクノロジー」の開発に取り組んでいます。

エレクトロニクスとイメージセンサーで蓄積された技術は、コンテンツのデジタル化を経て、ゲーム、映画、音楽、金融など全てのビジネス領域に共通して使えることが分かってきました。例えば、テレビやカメラで実現した高精細映像技術は、ゲームや映画のコンテンツ制作でも活かされています。
ソニーグループの多様な事業ポートフォリオの存在は、エンジニアと各事業の現場を繋ぎ、テクノロジーの展開や進化を加速し、各ビジネス領域で本当の意味でのシナジーを生み出せるようになってきました。 これは、他社にはない、ソニーグループの大きな強みだと感じています。

今後、エンタテインメントや金融の領域における研究開発テーマをさらに充実させていく予定です。 そのために、例えば、エンタテインメントでは、制作現場の最前線でのクリエイターとエンジニアの協業加速を目的に、Sony Pictures Entertainment Incの本社がある米国カルバーシティなどに研究開発拠点を置きました。

ソニーの研究開発費 年間約 5,000 億円のうち、1/10程度をコーポレートR&Dに充てています。財務規律の観点からこれを毎年ほぼ一定で推移させており、研究開発テーマは新規重要テーマを含めてプライオリティをつけてマネージしています。また、中長期的な潮流の変化にも柔軟に対応できるように、コーポレートR&D費用のうち5%以内を長期的な基礎研究テーマに配分しています。

人材の観点でもダイバーシティとグローバル化を強く意識した施策を加速度的に進めています。昨年から、国内外キーパーソンのダイナミックなローテーションを開始しました。

また、優秀な人材の獲得に向けて7月にはインドにも研究開発拠点を立ち上げました。中国は北京に研究開発拠点がありますが、深センにも新たに開設しました。これらの前提となる英語の公用語化を実施し、主要な会議進行、議事録は原則英語とし、全世界のメンバーと即時に共有できる体制を構築しています。

このような研究開発活動を通じて、先ほど申し上げた多様な事業への貢献に加えて、社会や地球環境への貢献も実現していきたいと考えています。

昨今の新型コロナウィルス感染症の世界的な広がりから、人々の「安心・安全」、地球環境などサステナビリティへの意識が高まっています。また、人が集まることが叶わず、高品質な映像や音の制作、もしくはライブやスポーツ観戦を楽しむことに制約を受けつつあります。

テクノロジーは、それらの課題解決の手段として期待されています。
その軸となるのが、これまでソニーが注力してきた「リアリティ」「リアルタイム」に「リモート」を加えた「3Rテクノロジー」です。

高画質、高音質を極める「リアリティ」に関するテクノロジーは、ソニーがこれまで得意としてきた分野です。また、入力側の状態を把握し、出力側に情報として届ける、という全体の流れを「リアルタイム」で実現することで新しい価値を生み出しています。

この「リアリティ」「リアルタイム」テクノロジーを、さらに「リモート」でも実現できることの提供価値は大きいのではないかと思います。

ここからは、3Rテクノロジーを用いた具体事例についてお話します。

実は、このプレゼンテーションは 8月に立ち上がったばかりのバーチャルプロダクション・ラボで、撮影を行っています。撮影所のセットや実在する場所をキャプチャし、映像と3Dデータを収録することで、背景のCrystal LED Display Systemに合成映像として忠実に再現しています。役者の演技や小道具を使った演出とあわせて、本物のセットやロケ地での撮影と見分けのつかない、リアリティのある映像表現が可能となります。

音の世界では、スタジオの制作環境をミキシングエンジニアの自宅に再現する360 Virtual Mixing Environmentという技術を開発しました。ヘッドホン用バーチャルサウンド技術や、環境最適化・個人最適化といった立体音響技術 を活用しています。映画館など対象となる音響空間での音作りを、自宅からリモートで行うことが可能になりました。この技術は来年公開予定の「ゴーストバスターズ/アフターライフ」の音響制作に活用され、Sony Pictures Entertainment Incのサウンドクリエイターからも高い評価を得ています。

昨年のTechnology Dayでもご覧いただいたVolumetric Capture技術を使って、生配信の音楽ライブ「いきものがかりVolumetric LIVE」を8月に開催しました。このライブ配信で大きく進んだことは、モデリング、レンダリング、配信、のすべてをリアルタイムで実現したということです。すべてがリアルタイムでつながった結果、空間そのものを伝達する、という大きな目標に一歩近づきました。

将来、遠隔地にいる人々と、視点を変えながらリアルタイムに見たり話したりすることを実現し、ユーザー同士がリモートで同じ空間を共有しながら意思疎通できる映像体験の提供を目指しています。

AI は、センシングから金融、エンタテインメントまで、ソニーグループのあらゆる事業領域に貢献し、適用できるテクノロジーです。
ソニーにおける AI の研究開発は、AI の新しいアルゴリズムそのもので競争するというよりも、応用する領域やそのときの制約によって、どのアルゴリズムが一番使いやすくて優れているかを見極め、ソニーの多様な事業にいかに活用できるかということに主眼を置いています。
一方で、ソニーは、AIシステム自身が成長する仕組みである自律発達知能や深層学習にも早期に着手してきました。これらの新しい技術は、次世代のAI技術として着目され始めています。

冒頭に吉田から申し上げた通り、5月にはAI処理機能を搭載したインテリジェントビジョンセンサーを発表しました。高速なエッジAI処理を可能にし、必要なデータだけを抽出することで、消費電力や通信コストの削減、データ転送遅延時間の低減などを実現します。

また、5月にはマイクロソフト社とスマートカメラソリューションに関する協業を発表しました。エッジAI処理とクラウドプラットォームを組み合わせた最適なシステム構築により、新たな顧客価値の提供を目指していきます。

ソニーグループでは、様々な社会問題解決へ向けた技術開発も行っています。

組織や細胞の特徴を分析するために使用する蛍光試薬の素材となる、蛍光色素 KIRAVIA Dyesを独自開発し、現在、他社へのライセンス供給や試薬の販売を行っています。KIRAVIA Dyesを用いた試薬は、フローサイトメーターを活用した再生医療や免疫学など、ライフサイエンス分野での活用が期待されています。

フローサイトメトリー事業には 2010年より参入し、ブルーレイディスク技術等を応用した、様々なフローサイトメーターを商品化してきました。最近では、米国のVanderbilt大学メディカルセンターが、ソニーのセルソーター「SH800」を用いて、新型コロナウィルスに結合可能な抗体を産出する細胞を分取することに成功しており、ワクチンや治療薬開発に繋がる可能性があります。
今後も、先端医療の研究加速など、ライフサイエンス分野にもソニーの技術を活かして貢献し、さらなる社会的価値の提供に努めていきます。

冒頭に吉田より、宇宙エンタテインメントの創出について申し上げましたが、こちらもソニーのテクノロジーが貢献し得る事例となります。具体的にはイメージングやセンシング、通信などの技術を活用していきます。

また、もう一つの事例として、長距離光通信を可能とする小型光通信装置「SOLISS(Small Optical Link for International Space Station)」を JAXA(宇宙航空研 究開発機構)と共同開発しました。ソニーの光ディスク技術を用いた「SOLISS」は、国際宇宙ステーションにて軌道上実証を行い、光地上局との双方向光通信及び高画質の画像伝送に成功しました。

サステナブル社会の実現に向けては、不都合な事態の未然防止や無駄を省く効率化が求められます。それには地球上の様々な対象をセンシングし、AI処理により、適切なタイミングで・必要な情報を・低コストで社会にフィードバックすることが求められます。ソニーの持つ高機能低消費電力 SoC、AI ツール、省電力広域ネットワーク(LPWA)技術を活用することで、「人と人」との共存から「人を取り巻く環境と人」との共存、の実現に取り組んでいきます。

本日は、ソニーグループの多様な事業活動におけるテクノロジーの貢献について、お話しました。 今までご紹介してきた事例の詳細や、他のテクノロジーの取り組みは Sony’s Technology 2020として、テクノロジーサイトに掲載しています。

「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」としての進化に今後ともご期待ください。 本日はご清聴ありがとうございました。