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同じゴールを目指すパートナーとして未来を共創していく「ソニーのインクルーシブデザイン」

同じゴールを目指すパートナーとして 未来を共創していく「ソニーのインクルーシブデザイン」

2024年03月18日

ソニーが目指している、誰もが感動を分かち合える未来の実現。そのために重要なことはインクルーシブなモノづくりの実践。ソニーはインクルーシブデザインのより良い形を求め、障がいのある方々への様々なリサーチプログラムを設けています。それはただ当事者の声を聞くだけではない、当事者とパートナーとなり、共に製品やサービスの価値を創っていくというもの。ソニーの重要なパートナーの一人として活動している、全盲の海洋冒険家・岩本光弘さんとソニーでブラビアのアクセシビリティに関するUI/UXのソフトウェアを担当する坂牧祐子ディレクターに話を聞きました。

岩本さんプロフィール写真 岩本光弘
全盲海洋冒険家。2019年、世界で初めて全盲で無寄港太平洋横断を成功した。
坂牧さんプロフィール写真 坂牧祐子
ソニー・ノースアメリカ
ユーザーエクスペリエンス ディレクター

心に届く、「感動」につながるという共通点。

坂牧:ディレクターとしてソニーのテレビ(ブラビア) のアクセシビリティを担当して5年になります。その前からユーザーエクスペリエンスの開発に長年かかわっていますが、岩本さんにはソニーの製品に対して非常に有益なフィードバックをいただくなど、製品の開発にご協力いただいていていますよね。いつもありがとうございます。

岩本:坂牧さん、普段は「ユウコさん」と呼んでいます。ユウコさんはかけがえのない仲間の一人で、ユウコさんなしでは私は今ここにいなかった。こちらこそ、心から感謝の気持ちを伝えたいです。

坂牧:ここでは普段通り、「ヒロさん」と呼びますね。
ソニーが大切にしているキーワードのひとつに「感動」があるのですが、私たちは心動く「感動」をユーザーに届けたいといつも思っています。そうした中でヒロさんからは「感動」の源となるインスピレーションをたくさんいただいています。ヒロさんはチャレンジを通じて、「ネバーギブアップ=諦めない」とおっしゃいますよね。それこそ我々が大事にしている、世界に、ユーザーに感動を届けたいという想いの強さと合致していると感じています。

すべての人の喜びのために、みんなで一緒にCo-Createする。

坂牧:ヒロさんには、視覚や聴覚など障がいがある方に製品をお渡しして、実際にそれを体験していただく「Lassie(ラッシー)」というリサーチプログラムに参加していただいますよね。課題も含め、いろいろなフィードバックをしてくださるのですが、私が何より嬉しかったのは「今まで娘と一緒にテレビを見たことがなかったのに、ソニーのテレビであれば娘と一緒にコンテンツを観て楽しむことができました!」と言っていただけたことでした。まさに、実現したいと思っていたことだったので、本当に嬉しかったです。

岩本:今までテレビには、読み上げ機能や音声操作がなかったので、パソコンを使ってYouTubeなどで好みのものを検索し、イヤホンを使って一人で音声を聴くことを楽しんでいました。しかし、今ではソニーのテレビのアクセシビリティ機能を活用して、一人ではもちろん、家族や友人たちと一緒にコンテンツを楽しむことができるようになりました。
ある朝、私はテレビの音声読み上げ機能を使って音楽を検索してコンテンツを視聴していたら、娘がリビングルームに来て、「何をしているの?」と声をかけてきました。そこから、二人で一緒に音楽コンテンツを楽しみながら、その音楽について語り合ったのです。はじめて、「感動」を分かち合った瞬間であり、それはそれは素晴らしいことだなと感じました。このプロジェクトなしではそういった充実した時間を娘と過ごすことができなかったわけです。

坂牧:まさにCo-Creationですよね。つまりヒロさんはCo-Creatorであり、ユーザーとソニーが一緒にプロダクトをつくる上での重要なパートナーであるということです。 私たちがいろいろな障がいがある方々とともにリサーチを始めたのは、10年ほど前でした。当時はアクセシビリティやインクルーシブデザインという言葉は社内でも一部の人が使っているような状態でした。でも、私たちは、みんなが使える製品を開発することがとても重要だと考えていました。Lassie(ラッシー)というリサーチプログラムを米国で始めたのが2017年からです。ソニーの製品を障がいがある方に一定期間使っていただきフィードバックを得るというプログラムです。このプログラムを通して、全盲の方が初期設定の段階でテレビの音声読み上げをONにし、ご自身でテレビを設定できるようにするなど、テレビのアクセシビリティ機能を改善し製品に搭載してきました。インクルーシブデザインは、私たちにとってとても重要です。 すべての人を製品ユーザーとしてとらえて、みんなが満足し、ハッピーになっていただきたいと考えています。ですから、多様な方と共にインクルーシブなデザイン活動を行いたいと思い、2年前から障がいがあるユーザーと一緒にCo-Creationするということもはじめました。

ブラビアのアクセシビリティ機能のメニュー画面

岩本:ソニーの人たちはいつもよく話を聞いてくれて、一緒に歩もうという気持ちが伝わってきます。こうした姿勢からいいパートナーになれる、みんなにとっても良い製品を一緒につくれると思いました。

坂牧:ソニーでは様々な人たちが、インクルーシブデザインに関わっています。ヒロさんや私はもちろん、トップマネジメントから、製品を設計する人、製品のデザインをしている人など、実に多様な人たちがものづくりに参加しています。私たちはインクルーシブデザインをクリエーションの1つの手法として位置づけています。

一緒に、公平に、一つのゴールを目指す。インクルーシブな社会に向かって。

岩本:ソニーのリサーチグループは、私が言っていることを注意深く聞いてくれます。そして、それを実際に製品に取り込もうとしてくださり、私のアイデアに対しても真摯に向き合ってくれると感じることができるので、私も心を開くことができます。そういった部分が、私がソニーという企業をアクセシビリティのリーディングカンパニーだと考える理由なのだと思います。

坂牧:私たちは様々なユーザーの皆さんの声に耳を傾けたいと思っていますし、また日常生活でどんな不便があるのか観察もするようにしています。そうすることで、みなさんが抱えている問題、課題をどのように解決できるか考えることができるのです。私はヒロさんではないし、一人ひとりそれぞれ状況が違いますよね。それぞれが固有のケースだと思いますから、当然その要求も異なります。だからあらゆる人々の声に耳を傾け、注意深く観察をし、パートナーとしてできる限りその要望に応えていこうとする製品づくりの姿勢が重要だと考えています。聴いて、観察する。それがインクルーシブデザインに必要なことだと思います。

岩本:障がいの有無に関わらずに、アクセシビリティ、インクルーシブな社会って、みんなが考えなきゃいけないことだと思います。ソニーは今、インクルーシブデザインのCo-Creationのところもリードしていると思いますが、その動きは世界で大きくなっています。近い未来、インクルーシブデザインが当たり前の時代が来るといいなと思います。「インクルーシブデザインって、障がいのある人のためのものでしょ」と思われがちでもありますが、それは違う。あなたのためでもあると思うのです。障がいの有無に関わらず、みんなにとって使い勝手がいい方がいいじゃないですか。

社会には、障がいがない人から障がいのある人たちに向かうベクトルがある。でも、一方向ではなくて、障がいがある人から障がいのない人たちへ向かうという逆のベクトルもあると思うのです。それらが並行して、お互いに努力して、一緒に一つのゴールに向かって行く。それこそインクルーシブ。船の上では、いろいろなリスクがあります。パートナー同士は命を守るために、ゴールに到達するために、お互いに努力しなきゃいけない。どちらか一方がもう一方をサポートしているということではなくお互いが公平な立場で一緒に動いていくのです。成功に向かって一緒に動くこと、これこそ本当の意味でのインクルーシブだと私は思っています。

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今後もソニーは、様々なユーザーの声に耳を傾け、観察し、意見を取り入れ、信頼関係を持ったパートナーとなり、ともにインクルーシブなデザインを考え、全ての人にとって快適な製品、サービス、体験のアクセシビリティを追求していきます。

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