映画『F1®/エフワン』で 撮影監督と新たな映像表現を共創
『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー監督と、ブラッド・ピットがタッグを組んだ話題作『F1®/エフワン』の中で時速300kmを超える迫力あるレースシーンの映像はこれまでソニーがさまざまな共創を行ってきた撮影監督のクラウディオ・ミランダ氏の"Sensor on a stick"(棒の先にセンサーを)、極小のカメラヘッド部を持ち、かつF1カーという環境に耐えうるカメラが欲しいという声を聴き、特別仕様のプロトタイプカメラを新規開発する事で実現しました。
映画『F1®』の撮影舞台裏とジョセフ・コシンスキー監督、撮影監督のクラウディオ・ミランダ氏、ファーストカメラアシスタントのダン・ミン氏へのインタビュー
走行による振動や砂・石の飛散、高速走行と減速による加速度など、カメラに過酷な環境の上、スペースに限りがありカメラを何台も置けない中、時速300kmを超えるスピードで走るF1カーからの迫力ある映像を撮影しました。
撮影の為に新規開発されたカメラは、Cinema Lineカメラ『 』と同等の映像表現力を持ちながら、『 』の技術によって遠隔での録画開始・停止などの操作が可能です。
これまで走行中のF1カーからの撮影は過酷な環境からアクションカメラなどの小さなカメラで撮影をしていましたが、映像表現力、堅牢性、遠隔操作性能を兼ね備えたこのカメラは、F1カーに搭載して映画を撮影することを可能にし、ハリウッド映画に未踏の表現領域を切り拓きました。
カメラヘッド部分が極めて小さく、Eマウントの金属部分の外径約59mmに対して、外装はほぼその外径と同じサイズ感を実現しています。
映画『F1®』向けプロトタイプカメラの開発エンジニアインタビュー
クラウディオ・ミランダ氏からの"Sensor on a stick"(棒の先にセンサーを)というチャレンジングな(難しいがワクワクする)要望に対して、彼の期待を超えることを目標としていました。8週間での設計から4ヶ月での試作、最終納品が6ヶ月という短期間での開発と、シネマラインで培ったシネマクオリティのLOOK(色調など)とOPERABILITY(操作性)を兼ね備えたカメラを、F1カーの車体という限られたスペースに収め、レーストラックのスピードや衝撃に耐えられる耐久性を持たせることが難しかったです。今回、ドロップインNDフィルターを新規開発しました。この技術は、2025年3月に発表したVENICEエクステンションシステムMiniにも活用されています。ソニーはボトムアップの文化が根強い会社で、私たちエンジニアも日ごろから温めているアイディアがありました。今回のようにクリエイターからの声を聞いた時にはすぐに形にすることができました。
ソニー株式会社 技術センター 機構設計部門(メカ開発)
映画F1向けプロトタイプカメラ 開発エンジニア
西 駿次郎