ソニー株式会社
2026年03月25日
2026年2月7日(土)・8日(日)に行われた視覚障がい者用歩行支援ツールの実証実験「ワクワクプロジェクト」にて、ソニーの高精度VPS技術を活用した実証実験をレポートします。
ワクワクプロジェクトは一般財団法人トヨタ・モビリティ基金が主催し、三井不動産株式会社の協力で行われている実証プロジェクトです。視覚障がい者が家から一歩踏み出し、安心して目的地までたどり着き、楽しんで帰宅できる"ワクワクする世界"の実現を目指して、2023年に始まりました。
視覚障がい者向けの歩行支援において、街中で進行方向や曲がるタイミングを適切に案内するためには、利用者の位置を正確に把握することが不可欠であり、位置測位の精度向上が重要な課題となっています。この課題を解決すべく、本プロジェクトの歩行支援アプリに対して、ソニーの高精度な位置認識技術VPS(Visual Positioning System※1 以下VPS)を提供した実証実験をソニーのグループ会社であるSoVeC株式会社※2が行いました。
今回の実証では、本プロジェクトで活用されている株式会社コンピュータサイエンス研究所が開発・提供する視覚障がい者向けの歩行支援アプリ「EyeNavi(アイナビ)」にVPSを導入することで、建物が多い都市部でもより精緻な位置推定ができるかを検証しました。
EyeNaviでは従来、ユーザーの位置推定にGPSを利用しています。GPSは日本中どこでも位置推定を行えるという利点がある一方で、衛星からの電波を受信し位置を特定する技術であるため、数メートルから数十メートルの誤差が生じる場合があります。また、高い建物が密集する地域や、地下、屋内などでは正確な位置特定ができない場合があります。
一方、VPSはスマートフォンのカメラで取得した画像をもとに位置推定を行うため、GPSが不得意なこれらの環境でも位置特定を行うことができます。今回は、高い建物が立ち並ぶ日本橋エリアでも精度の高い道案内ができるかを確認しました。
また、GPSよりも精度高く位置を特定できることから、ユーザーが歩いている場所の周辺のお店やおすすめスポットの紹介を音声ガイダンスで行う機能を実証用に実装し、目的地への道案内に加えて街中のスポットを紹介する機能の有用性を確認しました。
実証実験は、オフィスや商業施設が立ち並ぶ日本橋エリアで実施しました。
参加者は白杖を使いながら、VPSを搭載したEyeNaviの音声案内に従って歩行。安全のためスタッフが見守りサポートしつつ、横断歩道の通過や曲がり角など、実際の街歩きに近いシチュエーションで評価を行いました。
歩行中、参加者はソニーのワイヤレスステレオヘッドセット『LinkBuds Clip(リンクバッズクリップ)WF‑LC900』を装着。2月6日に発売した本製品は、耳を塞がないイヤーカフ型のデザインにより、車の走行音や周囲の人の気配を自然に感じながら、アプリの音声案内を聞くことができます。装着性や、街中での音声案内の聞き取りやすさなどを確認しました。
今回は、実証用に機能を組み込んだスマートフォンを首から下げて音声案内を聞きながら実際に歩いていただく形で2つのルートで実証を行い、合計9名の方に評価していただきました。
『LinkBuds Clip WF‑LC900』に関しては、「自分の耳に合うイヤホンを探すのが大変だったが、これであれば様々な耳の形に対応できてうれしい」「自然に装着ができる」「周りの音が聞こえる一方で、屋外でも案内の音が聞き取りやすかった」といったフィードバックをいただきました。
また、VPSを導入した道案内については、「道案内に安心感があり良かった」「歩いているときに『こんなイベントがある』といった案内が実装されており、楽しかった。街ブラを楽しめる要素が加わると普段の道案内と性質的な変化になって良さそう」といった評価をいただきました。
今後もソニーは、お客さまに寄り添い、すべての人が感動を分かち合える未来を実現するためにアクセシビリティを高める取り組みを進めていきます。