ソニーイメージングギャラリー 銀座

KANASGY 作品展 UNTITLED #01

KANASGY氏の作品展、そこに展示された作品のどれもが主体らしいものが写っていないフラットな写真ばかりだ。植物の枝が風に揺れて何度も引っ掻くことで弧が描がかれた壁、クロスの上に並んだ錆の浮き出た画鋲、カラスの羽根がポツンと上に乗っている落ち葉、子供たちに釘のようなもので殴り描きされた薄汚れくすんだ壁。それらが2L判のプリント紙にプリントされているのだ。
「撮影した時の、その姿になるまでの時間経過中に起きたことや、劣化のプロセスに興味があります。例えば、その日その日に、子供たちが思いのままに書いた落書き。コンクリートを削った跡がその度に増えていく。そのコンクリートの傷に、子供たちのそれぞれの生きた証しが、現れていく。この落書きが書かれた日、そこにはどんな一日があったのだろうか? 子供たちはどんな遊びをしたのだろうか? 痕跡と時間経過、そこに想像力が湧くのです」。

この作品を仕上げていく上でのスタンスを聞いてみた。
「私はノイズの質感にこだわっています」と氏はポツリと言った。
その真意とは、朽ちかけたものや、何度も使っているうちに一部が擦り切れた布、長年風雨と直射日光に晒され塗料が浮き出た箇所など、写真的には必要のない “ノイズ”(“視覚的な雑音”)、時間の流れの中(時間的なレイヤー)などにこそ創造性を掻き立てられるのである。

KANASGY

青春を過ごした渋谷の街のグラフィティを撮影することから写真を始めた。
消えては浮かび、浮かんでは消えるグラフィティに無常を感じ、上書きされる時間経過の形跡を写した。
路上を歩いていると多様な時間経過の形跡を発見する。
一分一秒を規則正しく刻む時計とは異なった不規則な時間の流れがそこにある。

KANASGY プロフィール

本名 金杉肇。1963年東京生まれ。起業家。写真家。作詞家。
黎明期よりCLUBやインターネットラジオ放送局など表現と交流のためのインデペンデントな場をつくる。
現在、アーティストやクリエイター、フリーランスが交流するためのプラットホームとプライベートギャラリー準備中。

著書「マネーと国家と僕らの未来」ハッカーズ著(茂木健一郎/堀江貴文/金杉肇)