ソニーイメージングギャラリー 銀座

中井和味 作品展 めぐる窓

フェリーの窓越しに撮られた、長閑でやさしい雰囲気の港や桟橋。キラキラと輝く海面。紙テープを投げ合い別れを惜しむ学生たち。見る写真はどれも見た目よりも明るく再現されたフラットで“ふわり”としたものばかりです。ほとんどの作品がフェリーの窓から見える島の何気ない日常の風景ですが、なぜか作品を見ていくうちに心が穏やかになり、なんだか懐かしさが込み上げてきます。どの作品も、そのシーンを撮りたいと思った瞬間に自分が感じた心の揺らぎのようなものを写していて、それをピュアに感じてほしいと中井氏は言います。

なぜ島をめぐるフェリーを撮るのですか? と中井氏に聞いてみました。
「島には特有のやさしい雰囲気があります。人々は親切ですが決して向こうからぐいぐい近づいて来たりはしません。接し方が自然で触れ合ううちになぜか懐かしい気持ちになります。同じようにフェリーの窓から見える光景にも強くそれを感じます。例えば港からフェリーに手を振る人たちが時折います。それはきっと私に手を振っているのではないのですが、不思議とその人たちが愛おしく思えるのです。そして私の祖母のことや遠くに住んでいる昔の友だちのことがとても懐かしく思い出されます。その不思議な心の揺らぎを作品にしました。自分の記憶と作品とを重ねて大切な人や、埋もれていた懐かしい思い出を思い出してほしいと思っています。」

それぞれの作品が次々と温かな感情や思いを投げかけてきます。ぜひギャラリーの中でご自身の大切な思い出に再会して頂ければと思います。

中井なかい 和味かずみ プロフィール

兵庫県出身。2002年から解散まで劇団『芝居屋坂道ストア』(主宰 角ひろみ)に所属。
その後上京し、自主映画の制作や短編映画に出演。撮影現場で見た一眼レフカメラに興味を持ち写真をはじめる。2017年 PHaT PHOTO写真教室 卒業。