ソニーイメージングギャラリー 銀座

たけうちかずとし 作品展 妄想植物園 -A Chimerical Garden-

たけうちは、暮らしの中でヒト(人)のエコマインドを静かに育むような美術作品を撮りたいと言う。アートとエコ、二つのマインドをもつ、ちょっと変わった写真家である。

モチーフは、全てたけうちが野山で採ってきたり、畑で育てたり、農家から分けてもらったりした、ありふれた植物や作物である。それらをモチーフとした作品を通し、身近な植物の美しさへの気付きや、植物の生態・栽培などに興味を持ってもらうことが作者の願いだ。

しかし、その作品群は、いわゆる普通の写真ではない。何だ、これは?から始まり、見ているうちに昔の記憶が蘇ったり、想像が膨らんだり…。変わった写真ではあるが、見るヒトそれぞれに鑑賞を楽しむことができると思う。

どの作品にも共通するのは、全ての作品がシンプルで、余計なものが何もないということである。まるで、モチーフの植物を季語とする俳句のようだ。また、メゾチント版画にも似た漆黒の画面が、闇夜の静けさと肌触りのようなものを感じさせる。
作品づくりの際は、モチーフとなる植物の旬の時期に、工夫を凝らしてアナログ的に撮影する。できるだけ野にあった時の姿で、実物を撮る。それらが、作品に魂を吹き込もうとする作者のこだわりである。

たけうちのねらいは、ヒトの身近な自然に対する見方や行動の変容にあるらしい。例えば、本展を見たヒトが、食事中ふと皿の上の野菜を見つめてしまったりとか、通勤途中の道端にモチーフとなっていた植物を探したりとか。作者の企てにはまってしまうかどうか、自分の目で確かめてほしい。

なお、本展では、熟練職人に特注して製作した木曽うるし塗り・木曽ヒノキ額で全作品が額装される。自然素材と伝統の技で作られた写真額も見どころである。

たけうち かずとし プロフィール

1962年 東京生まれ横浜育ち。
横浜国立大学 教育学部 美術科卒。上越教育大学 大学院 修士課程(環境教育専攻)修了。現在、武蔵野美術大学 芸術文化学科(通信教育課程)在学中。
1986-2013年 長野県 小中学校教員。2017年より団体職員。
子どもの頃より写真を趣味とし、中学生の時から写真コンテストへの応募を始める。教員として就職後、藤森順二氏(現・二科展写真部理事)に師事。実験的な写真や国内外の紀行写真などの作品作りを続ける。写真雑誌や各種コンテストなどで作品掲載、入賞多数。
2014年 第74回 国際写真サロン 入選。2015年 リコーイメージングスクエア新宿にて初個展。同年 art boxインターナショナル社よりポストカードブック「quiet life ものいわぬものたち」出版。2016年、第5回田淵行男賞 特別賞(フォトコン賞)受賞。日本環境教育学会会員。長野県松本市在住。