ソニーイメージングギャラリー 銀座

岡嶋和幸 作品展 風と土

作品展「風と土」の舞台は、アイルランドの南西にあるディングル半島である。その中でも主な撮影地は大西洋に突き出た最西端のエリアだ。
ディングル半島に興味を持ち撮影するきっかけとなったのは、ある著名な写真家が書いた小説との出合いだ。その旅行記のような風景描写は、まさに写真家の感性によるものだった。「実際にディングル半島を訪れると、日本では見ることができない、ダイナミックな風景が広がっていた」と岡嶋氏は語る。そして作品「ディングル」を撮り下ろし、2008年に発表した。

今回の作品では、前作から約10年を経て、ディングルと自分自身にどのような変化があったのか、岡嶋氏はそれを見極めたいという思いがあった。前作は「風光」がテーマで、美しい自然の眺めを表面的に切り取っているが、今回は「風土」。この土地の素顔を本質的に捉えようとしている。

この地方は天気が変わりやすい。快晴無風かと思えば、大西洋からの偏西風が突然吹き荒れる。しかも、「風の“質”が日本とは違う。風がずしりと重たい」と言う。
ここでは大西洋西南から吹き抜ける風の通り道を避けるように、人も植物も大地にしっかり根を張り、生命を培う力を養う。だが、水や栄養を蓄える土はわずかに地表を覆う程度で、そのすぐ下は固い花崗岩だ。それ故、植物は地中深く根を張り巡らせることができず、背丈の低い草しか育たない。丘陵地には緑の草原が広がり、牛や羊が放牧されている。草よりも背丈の高いものは、強い風に吹き飛ばされないようにするのが精一杯だ。目にする光景には、ここで生きる生命の気質のようなものが現れている。
暴れる風と荒涼とした風景。その素顔を捉えた素朴で力強い作品が展示された空間で、ぜひそこに吹いている風や潮の匂いを感じていただきたい。

岡嶋和幸(おかじま かずゆき)プロフィール

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。写真集『ディングル』(ソフトバンク クリエイティブ 2008年)、『風と土』(インプレス 2019年)ほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン 2008年)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム 2009年)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー 2009年)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト 2012年)などがある。

  • 後援:アイルランド大使館
  • 協賛:マルマン株式会社(キャンソン・インフィニティ)
  • 協力:エプソン販売株式会社