ソニーイメージングギャラリー 銀座

三井昌志 作品展 渋イケメンの旅

ここ数年、バイクに乗ってインドを旅している。これまでにインドを7周し、合計11万キロ以上もの道のりを走ってきた。インド人にも「クレイジーな奴だ」と呆れられてしまうほど、ディープな旅である。
行き先を決めない風任せの旅の中で、働く人々の姿にカメラを向けてきた。汗を流して働く男たちが、とにかく素敵だったのだ。僕が勝手に「渋イケメン」と呼んでいるのは、次のような条件を満たす男たちだ。

  1. 目力が強く、面構えに存在感がある
  2. 年齢を重ねることを恐れず、自然な「渋み」を漂わせている
  3. 外見には無頓着で、「異性にモテよう」という意識が希薄である

特に着飾っているわけではないのに、強い存在感を放つ男。自らのイケメンぶりが現実的な利益(たとえば、良い結婚相手に恵まれるとか)を生むわけでもないのに、あるがままの姿が魅力的な男。渋イケメンとは、そんな男たちのことだ。
渋イケメンは、日本でもてはやされている今風のイケメン清潔で中性的でオシャレでつるっとした男性とはずいぶん印象が違う。と言うか、まるっきり正反対の、汗くさくてごつごつした男たちばかりである。両者の違いの根本には、生き方の違いがあり、価値観の違いがある。社会が男に求めるものも、男が社会に求めるものも、大きく異なっている。そうした様々な違いが、外見に表れているのだ。
この展示では、インドをはじめとする南アジアの渋イケメンたちがなぜこれほど魅力的なのか、その理由を探っていく。強すぎる目力とほれぼれする肉体美がどこでどのようにして生み出されているのか、その謎に迫っていく。それはきっと「アジアの今」をより深く知る手がかりにもなるはずだ。
さぁ、渋イケメンを探す旅に出かけよう。

三井昌志(みつい まさし)プロフィール

1974年京都市生まれ。東京都八王子市在住。
神戸大学工学部卒業後、機械メーカーに就職し、エンジニアとして2年間働いた後退社。
2000年12月から10ヶ月にわたってユーラシア大陸一周の旅を行う。以降、写真家としてアジアを中心に旅を続け、人々の飾らない日常と笑顔を撮り続けている。
現地でバイクを調達して、行き先を決めずに移動するのが、旅の定番スタイル。2019年までにインドをバイクで7周し、合計11万キロを走破した。訪問国は39ヶ国。
旅の経験を生かしたフォトエッセイの執筆や講演活動を精力的に行う一方、広告写真やCM撮影など、仕事の幅を広げている。
主な著作に『アジアの瞳』(スリーエーネットワーク)、『子供たちの笑顔』(グラフィック社)、『スマイルプラネット』(パロル舎)、『渋イケメンの国』『渋イケメンの世界』(雷鳥社)などがある。
日経ナショナルジオグラフィック写真賞2018グランプリ受賞。