第14回公募セレクション作品 百瀬 俊哉 作品展 地の理【Chinokotowari】セレニッシマ / ヴェネチア
- 会期
- 2025年7月11日(金)~7月24日(木) 11:00~19:00
百瀬 俊哉(ももせ としや)プロフィール
百瀬俊哉(Toshiya Momose)は東京都出身、九州産業大学大学院芸術研究科修了。90年代より継続的に写真作品を制作し写真展や写真集で発表している。
現在九州産業大学芸術学部教授。
受賞歴
- 2020年
- 福岡市文化賞
- 2009年
- 福岡県文化賞
- 2002年
- 第21回土門拳賞
- 2000年
- 日本写真協会新人賞
- 1997年
- 第2回東京写真ビエンナーレ富士フイルム賞
- 1996年
- 第7回コニカ写真奨励賞
主な展覧会
- 2025年
- 『Silent Scape 静寂の風景』ブリッツ・ギャラリー
- 2013年
- 『Silent Cityscapes』ブリッツ・ギャラリー
- 2012年
- 『Land's End North×South』コニカミノルタプラザ
- 2009年
- 『インド照覧』東京都写真美術館(旅展)
- 2008年
- 『Stills』PARROTTA CONTEMPORARY ART(ドイツ)
- 2007年
- 『Neverlandマイ・ハバナ』コニカミノルタプラザ(新宿・東京)
- 2004年
- 『Concerto〜ブエノスアイレス〜』コニカミノルタプラザ(新宿・東京)
- 2001年
- 『CROSS CITY』ニコンサロン(新宿・東京)
- 1999年
- 『グランド上海』コニカプラザ(新宿・東京)
- 1998年
- 『EAST=WEST』新宿パークタワー(新宿・東京)
- 1997年
- 『八イパーリアル・トーキョー』コニカプラザ(新宿・東京)
- 1996年
- 『American Southwest』ニコンサロン(銀座・東京)
- 1994年
- 『SILENT CITY』ニコンサロン(銀座・東京)
写真集
- 2012年
- 『Land's End North x South』㈱窓社
- 2009年
- 『インド照覧』 ㈱窓社
- 2007年
- 『Never Landマイ・ハバナ』 ㈱窓社
- 2004年
- 『Concerto イスタンブール〜ブエノスアイレス』 ㈱窓社
- 2001年
- 『東京=上海』 西日本新聞社
- 1997年
- 『EAST=WEST』 西日本新聞社
作品収蔵
清里フォトアートミュージアム
東京都写真美術館
九州産業大学美術館 など
本展は、長年にわたって取り組んでいる「Silent-scape」シリーズの延長線上に位置づけられます。静けさの中に潜む風景の本質を、あらためて見つめ直す試みです。舞台となったヴェネチアは、水とともに生きてきた美しい都市です。一方で、近年では高波や潮位の変化といった自然の揺らぎに、静かに晒される場所ともなっています。かつて「最も穏やかな都市(セレニッシマ)」と称されたこの街を歩きながら、私はその土地がたたえる空気、独自の時間の流れ、そして人知れず佇む情景の美しさに深く惹かれていきました。
私は“風景”という存在が、私たちの意識や記憶の中でどのように立ち現れるのかを問い直しています。風景のなかで、思わず心が震えるような瞬間、それは計画や演出ではなく、心と身体の感覚を研ぎ澄まし、意図を手放したときに、不意に訪れる「あるべき瞬間」です。今回の作品群もまた、そうした感覚の流れの中から生まれたものです。
タイトルにある「地の理」とは、「地に宿る理(ことわり)」を意味します。そこに生きる人々の知恵や営み、そしてそれを包み込む自然の摂理へのまなざしでもあります。歴史と水に抱かれたヴェネチアという特異な都市を通して、変わりゆく世界のなかにあってもなお、確かに存在する風景の静けさと、私がそこに見出した心の静寂を感じ取っていただければ幸いです。
百瀬俊哉