Presented by Sony World Photography Awards
- 会期
- 2025年10月24日(金)〜10月30日(木) 11:00〜19:00
ソニーワールドフォトグラフィーアワードは、写真文化の継続的な発展を目的に、2007年よりソニーが支援する世界最大級の写真コンテストです。
「プロフェッショナル(組写真・10カテゴリー)」「一般公募(単写真・10カテゴリー)」「ユース(単写真・19歳以下)」「学生(組写真)」の4部門を設け、幅広いキャリアやジャンルに応じた発表の場を提供しています。さらに、写真文化に大きな貢献を果たした個人や団体を讃える特別功労賞や、各国・地域ごとに優秀作品を選出するナショナルアワードも実施しています。
今年で18回目を迎える本アワードは、新進気鋭の写真家から既にキャリアを築いた写真家まで広く世界に認知され、飛躍のきっかけをつかむ場として発展してきました。
本展では、Sony World Photography Awards 2025 ナショナルアワード〈日本賞〉を受賞した 林 典子 氏の作品をご紹介します。






アフガニスタンでは、花は人生の儚さや繊細さ、生命の象徴として、古くから美術や詩に描かれてきた。花を意味するペルシャ語「グル(gul)」は女の子の名前としても使われ、そこには、自然や精神的な美しさへの深い敬意が込められているという。
2021年にタリバンが政権を掌握して以降、女性の社会参加は制限され、高等教育も禁止された。唯一例外として認められていた助産教育も2024年末に停止された。
それでも、外の世界でベールに包まれた女性たちの姿とは対照的に、彼女たちが暮らす部屋に足を踏み入れると、壁やクッション、窓辺にまでもが花模様で彩られ、鮮やかな色が広がっていた。2023年、私は北東部バダフシャン州の田舎の村で出会った、ある女性がかつてベッドシーツとして使っていた花柄の布を手にアフガニスタン各地を巡り、女性たちの言葉を記録し、その布を背景に一人一人の肖像を撮影した。
絶え間なく続いてきた戦争や、沈黙を強いられる厳しい時代の中でさえ、私が出会った女性たちは心の奥深くで抑圧に抗いながらも、現実を受け入れ、折り合いをつけ、あるいは、「わずかでも、変化をもたらせるはずだ」と信じながら、それぞれの人生と対峙していた。その姿は、灰の中で決して枯れることなく咲き続ける花のようだった。
林 典子