SONY

English ソニーイメージングギャラリー 銀座

平井 望/南井 洋人/村田 香織 映像作品展 Transformation

心揺さぶられた感覚を誰かに共感してほしい
何度も繰り返し蘇ってくる想いを誰かにわかってほしい
湧き上がる衝動を表現せずにいられない
やってみたいと感じたら自然に手が動いた
誰もやったことがないことをやってみたい
・・・・・

たくさんの表現のきっかけが私たちに訪れます。そんな時にすぐに私たちの目となり筆を握る手となってくれるカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン。でも撮れた写真や動画がうまく自分の想いを表現でききれていないと感じたら?そうしたらひたすらまた撮ってみることを繰り返すしかないのでしょうか?

4回目の開催を迎える今回の映像作品展では、何枚もの写真を動画に仕上げたり、実写動画を絵画のように生まれ変わらせたり、それら以外にも様々な技法を巧みに混ぜ合わせたり、境界線を超えて求めるイメージを探求し続けることで生まれた作品を集めてお届けします。表現技法はクリエイターからクリエイターに受け継がれ、新たな使いこなしやアイデアが加えられ、進化を続けていきます。人をまたぎ、進化はきっと終わることなく続いていくでしょう。

表現技法がきっかけとなった作品のあつまりではありますが、暗い部屋でスクリーンに向き合っている間だけは手段には意識を向けずに、ぜひそこに展開される世界に身を委ねていただければと願います。今日は2024年の表現の世界を共に過ごしましょう。

最後になりましたが、若いクリエイターたちに一言でもかまいませんので暖かい励ましの言葉をかけてやってくださいましたら大変ありがたく存じます。ギャラリーより心からお願い申し上げます。

平井 望(ひらい のぞみ)プロフィール

福岡県出身。九州産業大学芸術学部にて映像メディアを専攻。在学中には写真表現にも取り組み、両者の特性を融合した作品制作を試みる。フィルムそのものの化学的特性や露光プロセス、3次元で触れることができる感光材料であるという性質に着目し、随意性と不随意性を組み合わせた実験的作品を多数制作。2023年春に上京。都内の白ホリゾントスタジオでスタジオマンとして勤務するかたわら、イメージフォーラムを拠点とする実験映像団体に所属。作品を同劇場にて発表。

映像作品タイトル:
She Knows

意中の女性とコミュニケーションをとる時、私は自分自身という男性を飾り立て偽る。
すっぴんの自分を見せるのが、そしてその先に起こりうる彼女からの拒絶が怖くて。
女の勘はいつも正しい。
本能的に、残酷に、眼前の男性の薄っぺらなメッキを静かに剥がしてゆく。
見透かされ、さらに偽った結果、私は彼女から跳ね返ってくる光を上手く受容できなくなり、心臓に侵入され、遺伝子 まで暴かれる。
彼女たちはいつだって心の奥に隠したミドリに気付いて欲しいと願っていることだろう。

MY room moon

球体は母性を放つ。 滑らかに私の肌をなぞる記憶は、暖かく、時に冷たく、不意に私の心に出現する。 故郷から遠く離れた一人暮らしのジメジメとした一室。 そこに突如現れる球体。 不思議と落ち着く水の音。 水面の揺らぎが私の警戒心をほどいてゆく。 私の心身はゆらゆらと同期していく。

南井 洋人(みない ひろと)プロフィール

現在、聖徳学園高校に通う十七歳の高校二年生。

映像作品を作る上で、言葉に頼らず人の心を動かしたいという思いがあり、表情や動きに繊細さを表現できるように拘っている。
今作では一秒の動画を作る為に十五枚の画像を撮影した。将来は、アニメーターとして世界中の人をワクワクさせられるような作品を作りたい。
この度、本グループ展に最年少で参加をさせて頂けることに大きな喜びを感じております。ご高覧いただけますと幸いです。どうぞ宜しくお願いします。

映像作品タイトル:
One eye and One AI

真実の愛に憧れる幽霊と幽霊退治にきた少女が出会う物語。

自分が抱える内面的な弱さや、人間関係で感じる「想い」を作品に投影するために制作した作品。
映像では、人間と幽霊という普段交わる事のない両者の中で発生する先入観やそれによって生まれる攻撃性などを綺麗事を抜きにしてむき出しの感情を舞台セット、キャラクター、構図、光、色などに意味を吹き込むように制作した。

村田 香織(むらた かおり)プロフィール

94年東京生まれ。
幼少から絵を描き、在学中からアニメーションの制作を始め、武蔵野美術大学卒業後、大学院でアニメーションを専攻。
現在はフリーランスのイラストレーター・アニメーション制作家として、MV、CM、イラストレーション制作など商業的仕事を手掛ける。

子供の頃から外国の絵本が好きで、数年前初めてイギリスのコーンウォール州を訪れ、バーバラヘップワースと彼女のアトリエにとても感銘を受けた。
ラヴェンナの映画祭で初めてイタリアを訪れ、その後アルベロベッロを訪れて南部の気候や景観に惹かれる。語学が拙いので、外国語が話せるようになることが目標。外国に小さなアトリエを持ち、制作や創作の仕事をしながら色々な場所を訪れて生活していくようになることが目標。

映像作品タイトル:
素晴らしい水の中から

 『宇宙から降って来る生命の粒のひとつから、人間が生まれる』
この作品では、ダンテの神曲の天国篇の一部を軸としています。
生命の誕生をテーマに処女懐胎の寓話を組み合わせ、タロットというモチーフと共に表現しています。作中で朗読されている一節は、ダンテの出生を表している箇所とも言われており、天国篇は、ダンテがこの世を離れて宇宙へと飛ぶような箇所ですが、生命の起源となるものは、目に見えず、宇宙の中に粒のように他の星々や塵芥に混じりながら存在しているのだろうかと想像します。宇宙の始まりがあり、星の誕生があり、今現在私たちが生きていることは偶然と過程の積み重ねの結果であり、なぜなのかと訊かれたら理由は誰にも説明できない気がします。 歴史の中で人々は絶えず空を見上げてきて、それは自分たちの遠い生命のもとが遠く彼方の空からやってきたからなのかもしれません。
 生命の誕生は、それ自体が冒険で、未知のものと出会う事でもあり、そこには一抹の不安や恐怖もあると思います。何もないところから、何かが誕生すること。例えば一人の女性が生命を孕むことで母親となり、胎内で微小な細胞から胎児を育て、出産としてこの世に送り出すこと。未知なるもの、変化への怖れ。怖れを抱きながらも、何かがやって来るのを待つこと。神秘、希望、不安や恐怖。そして、はじまり。
あらゆる生命の誕生に対する、驚きと尊敬のまなざしを込め、この作品を制作しました。

約2分 アニメーション、一部ロトスコープ使用
音楽 : Carlo Forlivesi
朗読 : Emi Del Bene / ダンテ「神曲」天国篇より
2021年制作

海辺の家

ある寒い朝、わたしは旅に出ることになった。
休暇中に会う約束をしていた友人は、しばらく前から姿を消しているのだという。
彼女は海辺にいるらしいという噂を頼りに、わたしは彼女を探しに旅に出る。
様々な記憶の断片と海辺の街の欠片が交差し、せつない生命の輝きを思い起こさせる、写真とアニメーション、映像による新しい映像作品。

約6分 現像したカラーフィルム、デジタル、映像、アニメーション /
詩詞制作助成 / 公益財団法人 東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京
取材・制作 / 日本、イギリス
撮影地・ロンドン、コーンウォール、東京、横須賀、穴水町他
2022年制作