- 会期
- 2025年12月19日(金)〜12月25日(木) 11:00~19:00
第8回目となる日本大学芸術学部写真学科専任教員による写真展「SKY Ⅷ」を開催させていただくことになりました。
私ども教員は、先達の師より厳しく基礎技術を学び、それを踏まえた上で自己表現を展開すべく写真表現を研究し、実践しております。また多くの学生と向き合い、語り合う中で、幅広い写真の世界に日々接し、試行錯誤をとおし多様な写真表現に取り組んでいます。写真学科での教育を本命としながら、作品発表を念頭におき写真制作を継続している制作系教員4名の作品を紹介いたします。
小池雄之は、今年度から写真学科の助教になりました。広告業界や、印刷・プリント業界でレタッチや商品開発などを手掛けた経歴をもち、画像処理の高い知識を有しています。学生時代から人間と地域との関わりをみつめて、複数のプロジェクトを同時進行し時間をかけて制作をしています。この作品「還る途」は初の発表です。偶然出あった不思議な経歴の神社に興味をもち取り続けることで、土地そのものの変化を記録し、土地に刻まれる記憶を浮かびあがらせます。
服部一人は、2年ぶり4回目の登場です。広告業界から、ドキュメンタリーの世界まで幅広い仕事を経験しており、世界を旅して歩いています。今回は「汽車のある情景」という作品で、日本で生活の中に溶け込む蒸気機関車を見られなくなった時代に発展途上国で走っている旅行者が行かないような生活の中の蒸気機関車の「風情」をとらえています。事前情報もなく、現地へ行ってこそ得られる感動とともに制作された、汽車愛あふれる作者の原点的な作品です。
田中里実は、昨年に続き、5回目の登場です。田中は第1回展に参加しており、その際に発表した「歴史シリーズ」の続編にあたるもので8年越しの「35×35写真史の旅2」です。田中の憧れる写真家アジェのように限定した機材による表現を試み、35mmフィルムカメラに35mmレンズをつけて、写真史の中でよく知られた場所を探訪し、現代の姿を伝えています。かつて、そこで何かが起こった場所は、今でも静かな世界が広がっています。
八木元春は、2年ぶり3回目の登場です。建築写真の業界で技術を磨いたのち教育に携わりました。人物から風景まで幅広い被写体に対応する技術をもちながら、ライフワークとして建築関係の作品を制作しています。今回は「KAMABOKO STRUCTURE」は、故郷である新潟県の郷土特有の蒲鉾型建築に目をとめ、その土地と建築の関わりを見つめています。豪雪地帯ならではの知恵と経験に基づく機能美豊かな建造物と雪の関係を展示方法も併せて表現しています。
写真はその場に行かねば撮影できないものであり、また写真は一瞬を捉えるという特性を有しますが、長い時間をかけて作品制作をすることが少なくありません。また撮影して時が流れることで写真が熟成していく、実際の時の流れの変化とは異なる深みをもつことがあります。これらの作品は、教育という主軸の仕事をこなしながら地道に創作活動を継続している4人の最終仕上げにまでこだわったオリジナルプリントです。展示方法までを含めて、4人の表現世界をご高覧ください。彼らの表現の広さと深さ、そして時をかけて熟成された作品を感じて頂ければ幸いでございます。
末筆となりましたが、会場にお運びいただいた皆様、そしてこのような機会を作っていただいたソニーイメージングギャラリー関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
日本大学芸術学部写真学科
主任・教授 西垣仁美










