English ソニーイメージングギャラリー 銀座

日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
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日本大学芸術学部写真学科 教員作品展
日本大学芸術学部写真学科 教員作品展

日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY VIII 田中里実/服部一人/小池雄之/八木元春

田中 里実(たなか さとみ) プロフィール

1960年石川県生まれ。
航空自衛隊航空学生、一般企業勤務などを経て40歳を過ぎてから日本大学
芸術学部写真学科に入学。同校大学院を経て、現在日本大学教授として勤務。
大学では写真の基礎を中心に指導を行っている。自身の研究テーマとして
「19世紀初期写真技法」の研究を行うと同時に、それらの技法を現代写真表現
に活かせる方法論を研究、そして作品制作に取り組み、さらに写真の記録性を
重視し、8×10インチの大型カメラから35ミリカメラまで使用して銀塩黒白
写真を用いた制作も行なっている。

公益社団法人 日本写真協会会員、日本写真学会理事、
日本写真芸術学会理事

【主な写真展】

2024年
「木とはなす」共同制作 奴奈川キャンパスギャラリー(新潟)
2022年
「FC越後妻有」奴奈川キャンパスギャラリー(新潟)
2021年
「Salt and Egg」ギャラリーストークス(東京)
2020年
「日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKYIII 」ソニーイメージングギャラリー(東京)
2019年
「夢幻泡影」ギャラリーストークス(東京)
「日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKYII 」ソニーイメージングギャラリー(東京)
2019年
「室野今昔-昭和33年から47年の室野そして令和元年」奴奈川キャンパスギャラリー(新潟)
2019年
「Paris perspective Atget et Marvill」ギャラリーストークス(東京)
2018年
「日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY 」ソニーイメージングギャラリー(東京)
2018年
「大地と生きる」大地の芸術祭[共同制作](新潟県十日町市)
2017年
「私たちの職場から」第30回日本老年泌尿器学会
2016年
「35×35 写真史の旅」ギャラリーストークス(東京)
2015年
「Entrance・Geometry」[グループ展]WACCA IKEBUKURO(東京)
2013年
「鉄・彫・写」[鞍掛純一共同制作]星と森の詩美術館(新潟)
田中里実作品
田中里実作品
田中里実作品

35×35 写真史の旅2

今から10年ほど前に、約3ヶ月間欧米諸国を巡る機会をいただきました。大学在学中から写真史に興味を抱き、その頃から史料に添付されている写真を見る度に、一度その歴史的な場所を実際に訪ねてみたいと思っていたのです。その思いを実現できる喜びと共にアメリカのニューヨーク州ロチェスターを皮切りに欧米6カ国12都市を巡ってきました。
この旅で持参したカメラはフィルムカメラとデジタルカメラ1台ずつです。いずれのカメラもレンズは35mmの単焦点レンズだけを装着し、主にフィルムカメラで撮影し、デジタルカメラはバックアップとして撮影していました。展示写真はそのフィルムカメラと35mmレンズの組み合わせで撮影したものだけを展示しています。
フィルムは主なメーカーの35mmフィルム5種類、合計80本を日本で用意し各地を巡り撮影し、現地でフィルムを入手せず荷物になっても日本で用意し持参したのは、空港での手荷物検査によるX線がフィルムにどれほど影響するか実験してみようと思ったからです。撮影したフィルムが全て使い物にならなくなる覚悟で、機材用のバッグの中に入れ検査機に通しました。その回数は合計14回です。その結果、このようにプリントが可能なネガを得られたことにはちょっと驚きました。
また、1台のカメラと同じレンズだけで撮影し作品に仕上げることは、試みたいテーマの一つだったのです。それは学生時代にアジェという写真家を知った時からです。アジェは生涯180mmのレンズ一本だけで撮影した人でした。そんなアジェに憧れた私の思いも込めた作品です。

田中 里実

服部 一人(はっとり かずと) プロフィール

1961年名古屋生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。(株)日本デザインセンター勤務の後、独立行政法人国際協力機構(JICA) により、ナイロビ国立博物館(ケニア)、チェンマイ山岳民族博物館(タイ)、アユタヤ歴史研究センター(タイ)に派遣。帰国後、東京をベースにフリーランスフォトグラファーの後、現在は日本大学芸術学部写真学科 教授、日本写真芸術学会 理事。

【主な写真展】

2025年
「パノラマ・東京・ミレニアム」ギャラリーストークス(東京)
2022年
「6×6 Portraits」ギャラリーストークス(東京)
2021年
「初めての旅」ギャラリーストークス(東京)
2020年
「Days in Africa」ギャラリーストークス(東京)
2019年
「駅•雑踏•トラム」ソニーイメージングギャラリー(東京)

【主なグループ展】

2024年
「Railway」ギャラリーストークス(東京)
2023年
「SKY Ⅵ」ソニーイメージングギャラリー(東京)
2023年
「わたしのともだち ~ 写真家と愛しい存在の物語 ~ Part3」ソニーイメージングギャラリー(東京)
2022年
「Railway」ギャラリーストークス(東京)
2020年
「SKY Ⅲ」ソニーイメージングギャラリー(東京)

【出版物】

2022年
「6×6 Portraits」クスクスパブリッシング(東京)
2021年
「初めての旅」クスクスパブリッシング(東京)
服部一人作品
服部一人作品
服部一人作品

汽車のある情景

昔から鉄道が好きで乗ったり、撮ったりをくり返してきた。興味の対象は鉄道車両そのものではなく、鉄道を取り巻く自然や環境、利用する人々の日常など、いわば鉄道の周囲の「風情」を楽しんできた。特別なことではなく生活の一部となっている鉄道の姿を見ることが好きだった。

かつて日本にも現役で蒸気機関車が走っている時代があった。しかし当時子供だった私はその多くを見ることができなかった。やがて大人になってから、海外で日常的にまだ蒸気機関車が走っている国がいくつもあることを知ると、ときどき現地に出かけては、その「風情」を堪能してきた。

海外でも現役で蒸気機関車が走っている国というのはいわゆる発展途上国と呼ばれるところがほとんどで、しかもかなり辺鄙な田舎町が多い。特に観光地でも名所でもなく外国人旅行者が訪れることも珍しい場所だ。蒸気機関車が走っていなかったら、おそらく私も一生訪れることがなかった土地だ。そんな旅先で豊かな「風情」を見てきた。

これらの写真はまだインターネットが本格的に普及する以前に撮影したものが多い。現地の情報は少なく不確かで、やっとたどりついても期待はずれで徒労に終わることもしばしばあった。しかし、と今の私は考える。海外旅行に行く前にはネットで検索し、Googleマップで現地の様子を何度も確認してから出かけるようになった現在と違い、行くまで何があるのか、どんなところなのかわからなかった、あのワクワクした気持ちを懐かしむのである。

小池 雄之(こいけ ゆうし) プロフィール

1991年埼玉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。幼い頃から写真に興味を持ち中学時代にデジタル一眼レフを買い与えて貰ったのをきっかけに本格的に写真撮影を始める。日本大学芸術学部写真学科卒業後、広告制作会社でレタッチャーとして勤務。退社後、株式会社ピクトリコ(現三菱王子紙販売株式会社)に勤務。ピクトリコではプリントチーフとして、美術館や作品展の様々な作品に携わった他、 用紙開発などにも関わる。
退社後に独立し総合クリエーターとして、 インクジェットプリント、画像レタッチ、動画編集作成、企画に携わる。 2025年より日本大学芸術学部 写真学科 助教として勤務。また自身も写真活動を定期的にしており、写真展を多数開催。 主に現在は九州の炭鉱地域を中心に街の移り変わりをテーマに作品制作に取り組んでいる。

一般社団法人 日本写真芸術学会会員

【主な写真展】

2021年
「Ikeshima」ピクトリコ ショップ&ギャラリー (東京 両国)
2016年
「IKESHIMA 2014-2016」ピクトリコウォールスペース(東京)
2014年
「IKESHIMA 日本大学芸術学部 卒業制作選抜展」ポートレートギャラリー(東京 四ツ谷)
2012年
「AHI Night」ニコンプラザ銀座 フォトスクエア(東京)
2010年
「building 第83回国画会写真部オープンスペース展 特別賞」新国立美術館(東京)
小池雄之作品
小池雄之作品
小池雄之作品

還る途

森に囲まれたこの神社には、奇妙な時間の流れがある。かつて山頂にあった社は、採石場の造成によって居場所を奪われ、その後、採石場が消えたことで再びこの地に戻された。人の手によって形を変えさせられ、用途が終われば放置され、再び"聖地"として呼び戻されるその揺れ動きの中で、土地が抱えてきた記憶はどんな表情をしているのだろう。

十年前に初めて訪れたとき、廃れた採石場の中央に真新しい神社がぽつりと立っていた。何度足を運んでも人と会うことはなく、ただ風と光だけがこの場所の歴史を静かにたぐり寄せていた。普段なら土地の由来を深く調べる私が、この場所に限ってはそうした衝動すら失うほど、理由のわからない引力がある。

整地された跡は草に覆われ、夏には濃い緑に吞まれる。ここは変わっていく途中なのか、戻っていく途中なのか土地自身がまだ迷っているようにも見える。

日本では、旧いものを壊し、役目を終えた土地を次の用途へと急いで押し流すことが少なくない。この神社の歴史は、その一つの断片に過ぎない。そして同じような境遇を迎えている場所は、ここだけではなく、全国に静かに潜んでいる。山が削られ、集落が姿を変え、かつての記憶が誰にも知られないまま土に埋もれていくそんな場所を、多くの人が自身の暮らす地域のどこかに思い当たるのではないだろうか。

だからこそ、この神社を記録することは、単なる一つの場所の記録ではない。忘れられていく土地、押し流されてきた歴史、そして"戻ること"が可能だった場所の存在を通して、鑑賞者自身が、自分の身近な土地や記憶の中にある場所へ思いを投影できるようにしたい。

あなたの心の中にも、かつて存在し、今は姿を変え、名前さえ曖昧になった場所があるはずだ。その痕跡を思い起こすきっかけとして、この神社の記録が働くことを願っている。

八木 元春(やぎ もとはる) プロフィール

新潟県長岡市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、2016年より建築専門誌を出版する株式会社新建築社の写真部にてカメラマンとして5年間勤務。新建築社より発行されている「新建築」・「住宅特集」・「J A」・「a + u」・企業別冊・企業本などの掲載用の写真を撮影。
2021年より日本大学芸術学部写真学科の教員となる。大学では 写真の基礎知識、技術、考え方を伝えることに加え、建築、地域性の結びつきから発生する「人の暮らし」を、写真を通して考察する自主制作を行なっている。

一般社団法人日本写真芸術学会会員

【主な写真展】

2024年
「Reconstruct/Reconstruction」六本木ヒルズ A/D ギャラリー(東京)
2023年
「93,000,000」『日本大学芸術学部写真学科 教員作品展 SKY VI』ソニーイメージングギャラリー(東京)
2023年
「除夜の白」ポートレートギャラリー(東京 四ツ谷)
2022年
「蒼柴神社」『 日本大学芸術学部写真学科教員 作品展 SKY V』ソニーイメージングギャラリー(東京)
2022年
作品提供 キトウシ森林公園家族旅行村 ケビン17号棟(北海道)
2022年
「帷」 (大地に根を張り、記憶を紡ぐ)東川町文化ギャラリー(北海道)
2012年
「Children」 ニコンプラザ新宿 フォトスクエア(東京)

【主なグループ展】

2024年
「木とはなす」奴奈川キャンパス(新潟)
八木元春作品
八木元春作品
八木元春作品

KAMABOKO STRUCTURE

1474cm。
この数値は、新潟県のある地域での年間累計降雪量だ。この地域のように冬に積雪の度合いが特に高い地域を「特別豪雪地帯」と呼び、新潟県にはこれにあたる地域が複数点在している。こういった地域には、特徴的な建造物が存在する。「かまぼこ型建造物」もそのひとつだ。新潟県の特に雪深い地域で多く見られ、正式名称は不明。だが「大地の芸術祭」でも多数作品としてモチーフになっているものであり、新潟県の非常にアイコニックな建造物だと言えるだろう。

用途はさまざまで、バス停の待合室、倉庫(車庫)、農機具の収納、簡易的な作業場、作物の干し場、無人販売所、地域消防団の詰め所など。民家の隣、玄関、畑の入り口、または真ん中、畦道付近、峠道(県道・市道、私道)などに設置されており、いずれも暮らしに密着している姿が見受けられる。これらの建造物は共通して半円アーチ形状の屋根型をもち、雪が積もればある程度の降雪があれば自動的に雪が地面に流れ落ちる仕組みとなっている。曲線はアーチ型桟橋のように荷重を分散させる効果があり積雪に対して耐久性の高い構造で、風土に合わせた合理的な形だといえる。

豪雪地帯の真白の風景の中にいくつもこの建造物が現れる違和感と素朴な佇まいに惹かれ、撮影を続けてきた。当たり前のように日常にある建造物を建築写真手法を用い記録することで、よりニュートラルな視点で建築的価値を確認することができたように思う。「かまぼこ型建造物」の独特のフォルムが持つ視覚的な美しさは、この建造物の機能美そのものである。そしてその機能美は、この地域の風土を明確に表しているといえる。この建造物を追い、何度も撮影を繰り返す中で、自身のルーツであるこの地域の過酷さをあらためて再認識させられる。