第15回公募セレクション作品
- 会期
- 2025年11月7日(金)〜11月20日(木) 11:00~19:00
ソニーイメージングギャラリーとして7回目となる映像作品展をお届けします。映像作品展は、公募で15分以内の短編映像を募集し、ギャラリー側で出展者をマッチング、グループ展として開催してきました。例えば2022年に開催した『衣斐 明 / 谷+1。/ 趙 可人 / 福田 健太郎 映像作品展 The Flow of Time and the Wind』では風景や季節の移ろい、そして生き物に焦点をあてた作品が集まっていました。これまではそのように同じ回の出展者の作品には何らかの共通する点が存在してきました。
しかし今回の『黒田 教裕/Hidetoshi Koizumi・Ryuta Tomiyama/スギノ ユキコ/中山 莉瑠 映像作品展 G. F. E. G.』では、4組の作品に特に明確に語れる共通点のようなものは見出せません。それぞれの作品は鑑賞者の中に様々なキーワードのような言葉や、何かの感覚を思い浮かべさせることでしょう。
黒田 教裕さんの作品からは、ひたすら繰り返される波紋の美しさにただただ見入る方もいるでしょう。時間を遡るような感覚を覚える方がいるかも知れません。
Hidetoshi Koizumi・Ryuta Tomiyamaの2人からなるユニットは、ひたすら前に進む映像が場面を転換しながら繰り返されていく映像を生み出しました。隣を歩いたり、すれ違ったりする人々が発生させる光は、まるで夜間飛行の機内から地上を眺めている時の無数の灯りのようです。それはたくさんの知らない人が同じ時代をそれぞれに生きており、それぞれが何かを抱えて生きていることを想起させます。
スギノ ユキコさんの作品では二人の旅人の最果てを目指す静かな旅が描かれます。どこか寂し気でありながら最後に訪れる特別な笑顔は「決して忘れない」と語っているかのようです。
中山 莉瑠さんの作品は原発事故により生じた放射能の危険、そして地震により飲み水が途絶えた状況の中で、小さなたくさんの命を続けさせようと無心で手を尽くし続けた家族の言葉をひたすら記録しています。そしてこの作品は家族や地域の人たちの経験を広く共有する中山さんの行為そのものでもあります。
写真家の中には「"映像"は、ストーリーや効果音やカメラワーク等を使い、作り手が『見る人にそう感じさせたい』と考えている所に導くもの。それに対して"写真"はそうではない。見る人が感じたままに受け止めてほしい。」と語る人が少なくありません。今回の4組の映像作家の作品はその言葉を思い起こさせ、映像にも見る人が感じたままに受け止めるべき作品があることを知らせてくれます。観客の皆様それぞれが感じ、考え、そこから残る何かがあれば幸いです。











