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イメージセンシングプロダクツ / Image Sensing Products

ソニーが永年培ってきた、世界に誇るイメージセンサーを搭載するISP製品はマシンビジョンの『機械の眼』として"正確"に「撮る」「録る」「捉える」を実現し、画像処理、検査、監視、ロボットなど、多様化する産業用、セキュリティ用ニーズにお応えするカメラです。多彩なラインアップは、さまざまなシーンへの展開をご提案します。

偏光カメラ 開発者・商品企画担当者インタビュー

鈴木祐介/佐々木勝昭/三ッ堀裕之

ソニーの偏光カメラXCG-CP510とSDKを利用することで、従来のマシンビジョンカメラでは実現困難であった被写体の画像処理を可能にします。
今回、この『偏光カメラ』に秘められた、多くの魅力を開発者に聞いてみました。
インタビューをとおして下記をポイントに皆様の疑問にお応えします。

■偏光って何?
■偏光カメラってどんな仕組み?メリットは?
■どんな用途に使えるの?

『偏光』は身近な場面でも利用されている現象。

─── はじめに、『偏光』とは、どのような光のことをいうのかご説明いただけますか。

まず偏光の前に光について説明させてください。ご存知の方も多いと思いますが、光は粒子と波の2つの性質から成り立っています。波の性質に着目すると、波は振幅と波長から構成されます(図1)。私たちの目には光の振幅を明るさ、波長を色としてとらえることができます。また波には振動方向があり、どの面に対して振動するかという要素もあります。この振動方向は私たちの目には認識できないのですが、太陽の光などはさまざまな方向の振動をする波から構成されています。この振動方向が一方向に限定されている光を、偏った光、偏光と呼びます。逆に太陽光など複数の振動方向を持つ光は無偏光と呼ばれます(図2)。

図1:光の波の構成 Wikipedia より
縦軸に振幅、横軸に波長をあらわしている。出展:Wikipedia

図2:偏光と無偏光
偏光フィルター透過後の偏光
偏光フィルター透過後の偏光と、太陽の光などさまざまな方向の振動する波の無偏光を表した図。

─── なるほど。光が偏るので『偏光』というのですね。でも太陽光は無偏光ということですが、どんなときに偏ることがあるのでしょう?

鈴木:偏光は、目で認識できていませんが身近にある光です。自然環境下では光沢のある被写体の表面で光が反射するときに無偏光が偏光に変化するという不思議な性質があります。例えば、窓ガラスなどに反射している映り込みは、偏光になりますね。またテレビやパソコンのモニターに使われている液晶ですが、内部に偏光フィルターというものを使用しており、このフィルターを通すと光の振動方向が限定されて透過し、偏光になります。いつも見ているテレビの光って、実は偏光を見ているということになるんですよ。

─── え?テレビの光は偏光なんですか?!ますます興味深くなってきました。

鈴木:この偏光フィルター、無偏光を通すと偏光になるのですが、逆に偏光を通すと、振動方向をうまく合わせることで光を遮断することができます。この性質は偏光サングラスなどで使われていて、裸眼ではまぶしく見える路面反射が偏光サングラスをかけると軽減されるという例を挙げるとわかりやすいかと思います。これは反射光は特定の偏光角を持っており、それを遮断する方向の偏光シートがサングラス上に実装されていることで、反射光がカットされるためです。このように偏光は身近な場面でも利用されている現象です。

─── なるほど、『偏光』は特別な光ではなく、私達が無意識に接している光なのですね。

鈴木 祐介
(商品企画担当)

『偏光カメラ』は偏光情報の記録をしている。

─── 次に偏光カメラの利点について教えていただきたいのですが、素朴な疑問として
デジタル一眼カメラ等で偏光フィルターを装着すると、ガラスの反射や水面の反射を抑えて中を見えるようにする効果があるようですが、外付けの偏光フィルターを利用するのではなくカメラに実装されているのはどうしてなのでしょうか。

偏光カメラの利点はいくつかあります。

偏光カメラの利点をお話する前に、まず偏光フィルターについてご説明します。
先ほどお話しいただいたように、偏光フィルターをカメラのレンズに装着することで、映り込みを含めた被写体の反射を低減することができます。ただ、使用にはコツがあり、偏光フィルターを回転させて反射が最大限取り除ける角度に調整する作業が必要です。これは太陽の位置や被写体が変わるたび、都度調整する必要があるので手間がかかります。

─── 偏光フィルターの設定は難易度高そうですね。なおかつ手間もかかるとなると、利用するのを敬遠してしまいますね。

佐々木:そうですね。偏光フィルターの問題点として、仕組み上、特定角度の偏光しか低減できないこと、撮影後は修正ができないことがあげられます。ショーウィンドウのような1枚の平面の反射を抑える場合は問題ないですが、車のフロントガラスやサイドガラスのように面の方向が違う反射を同時に低減することは難しくなります(図3)。また、当たり前の話ですが、1度撮影した画像には偏光情報が含まれていないので、やり直すにはもう1度同じ条件下で、偏光フィルターの角度を変えて撮影する必要があります。

図3
左図:偏光フィルターでサイドウィンドウの反射を低減。フロントは反射のまま。右図:偏光カメラで反射を低減。サイドとフロント両方に効果あり

─── 偏光フィルターを使っての撮影は設定上の制限事項があり、一筋縄ではいかないということがわかりました。

佐々木:一方で偏光カメラの利点はまさに偏光フィルターの問題点を解決できることです。

偏光カメラの特長はイメージャーには画素毎に異なる方向の偏光子が貼り合わせてあることです(図4)。偏光子の設定されている角度は4方向あるので、偏光フィルターを4つ同時に使用しているような構成になっています(図5)。

図4:偏光イメージセンサーの構造
左図:偏光フィルターでサイドウィンドウの反射を低減。フロントは反射のまま。

図5:偏光イメージセンサーの偏光子の構成図
右図:偏光カメラで反射を低減。サイドとフロント両方に効果あり

─── 4方向の偏光フィルターが貼り合わせてあると、具体的にどのような事ができるのでしょうか。

佐々木:4つの方向を持つので、補間することでその中間の角度も計算で求めることができます。
例えば0°と45°の間の30°に偏光フィルターを設置した光の状態も計算で求めることができるんです(図6)。

図6:0°と45°から30°の角度を合成するイメージ

つまり偏光フィルターの回転を計算で求めることができるので、偏光カメラの場合は取り敢えず撮影してしまって大丈夫なのです。後から計算でどんな角度の偏光フィルターの状態も再現できますから。

─── 偏光フィルターの撮影時の設定の手間に比べて、取り敢えず撮影してしまえば良い、という発想が面白いですね。

佐々木:はい。しかもこれを画素毎で行うことができるんです。ですので偏光カメラの場合、フロントガラスとかサイドガラスとか関係なくいろいろな角度の反射面があっても、全て映り込みを抑えることができます。
偏光カメラのこの特長は強力で、画像を撮影するというより偏光情報を記録していると言ったほうがイメージとしてわかりやすいかもしれません。偏光情報を記録しているので後から再計算で好きな画像を求めることもできます。

これは反射の映り込みを抑えた画像だけでなく、偏光・無偏光の割合(偏光度)や被写体の反射面の方向(面法線)、透過物にかかる圧力の状態なども計算で可視化することができます。
(図7、図8、図9)

図7:反射除去の例

図8: 偏光度の例

図9: 面法線の例

─── 1度の撮影でいろいろな画像処理の素となる偏光情報が得られるので、都度撮影が必要となる偏光フィルターを利用するより、時間短縮となって作業効率が断然良いですね。

表1:偏光フィルターと偏光カメラのまとめ

偏光フィルター 偏光カメラ
目的 特定偏光方向の光のフィルタリング 偏光情報の取得
実現できること 平面上で発生した反射の除去 ・反射除去 (平面上以外も除去可)
リタデーション(残留応力可視化)
etc.
キャリブレーション 対象物に対して回転させ
最適な角度を見つける必要あり
回転させる必要なし

(つづく)
『デモザイク』について

評価機の貸し出し、お見積もり、およびご購入は特約店へお問い合わせください。

佐々木 勝昭
(カメラ開発担当)

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