SONY
ソニー株式会社
English ソニーイメージングギャラリー 銀座
本展は、九州産業大学大学院芸術研究科写真・映像領域に所属する5名の大学院生による写真展です。タイトルの「UNDERCURRENT」とは、水面下で静かに流れ続ける“目に見えにくい動き”を意味します。私たちは、日々変化し続ける社会の中で、周囲の風景や出来事を見つめながら、自分自身の在り方について考え続けています。写真という表現手段を通じて観察し、記録し、問いを立てる行為は、より深く世界と関わるための手がかりとなります。それぞれが異なる対象に関心を抱きながらも、「今、ここにいる自分」と「社会・環境・記憶」との関係を見つめ、日常の奥に潜む気配や違和感に焦点を当てています。この展覧会が、それぞれの学生の視点を通して、何気ない日常に潜む違和感に気づく契機となれば幸いです。
大分県出身
人間として確かにそこに居た。私は、念望の壁の中で土になった。自らの存在と世界との関係である。
中国 遼寧省出身
私たちは愛を名目に、監視カメラを使って私たちの視界の中に祖母をしっかりと捉え、冷静なデジタルの世界で彼女を守ろうとした。しかし、祖母は家の中心にいる存在であるはずが、「世話される人」「気にかけられる人」として扱われてばかりで、自分の思いや言葉を表す場がほとんどない。
そこで私が問いかけたいのは誰かを「大切に思って見守る」というその視線自体が、別のかたちの“監視”かもしれないということだ。
中国 黒龍江省出身
ある夜中目覚めた時、突然自分がどこにいるのか忘れてしまい、自分の体がとても軽く、巨大な空間の中で無数の粒子とともに浮遊し、回転しているように感じた。私の魂はとても軽く、街の中で人ごみの中で浮遊しているようであった。徐々に重くなっていくのは、おそらく記憶や世界との繋がりだろう。
中国 広東省出身
動物園の動物たちは、幸せだろうか? 時々、ぼんやりと彼らを見つめる。 孤独な背中と、 ガラスについた幾重もの引っかき傷。——少なくとも、自由はそこにない。皮肉なことに、 「野外」に置かれているのは動物の彫像だ。風にさらされながら、 檻の中の仲間をどこかであざ笑っているかのように見える。ふと、想像することがある。もし動物たちが檻から抜け出し、扇風機を代わりに閉じ込めて、秘密の通路から逃げ出したら——野原で、自由のために乾杯するだろうか?
中国 河南省出身
私はずっと、動と静は対立する関係ではないと思っている。それらはよく同時に現れ、ときには、その違いがはっきりしないことさえある。たとえば、鳥が飛び立つその瞬間は、決して騒がしくなく、静かに揺れる水面も、本当の静けさとは少し違う。「動寂無二」という四文字は、私がその光景を見たときの感覚にとても近い。どちらか一方の視点を大きくする必要も、何かを強調する必要もなく、ただそのままの姿を残したかった。 これは、動と静のあいだにある、微妙な関係だ。
本展は、九州産業大学大学院芸術研究科写真・映像領域に所属する5名の大学院生による写真展です。タイトルの「UNDERCURRENT」とは、水面下で静かに流れ続ける“目に見えにくい動き”を意味します。私たちは、日々変化し続ける社会の中で、周囲の風景や出来事を見つめながら、自分自身の在り方について考え続けています。写真という表現手段を通じて観察し、記録し、問いを立てる行為は、より深く世界と関わるための手がかりとなります。それぞれが異なる対象に関心を抱きながらも、「今、ここにいる自分」と「社会・環境・記憶」との関係を見つめ、日常の奥に潜む気配や違和感に焦点を当てています。
この展覧会が、それぞれの学生の視点を通して、何気ない日常に潜む違和感に気づく契機となれば幸いです。