NFCの定義

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一般的に
既存の複数の非接触ICカードの通信規格を包含する他、携帯電話やPCなどに搭載されることを前提にして機器間のデータ交換などの用途を想定して規定された技術
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狭義として
基礎となる国際標準規格ISO/IEC18092(NFCIP-1)
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広義として
NFCIP-1に加え、互換性を確保するため業界標準団体NFCフォーラムが実装規格として規定するNFCフォーラム仕様も含むもの
NFCは、Near Field Communicationの略称で、13.56 MHzの周波数を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信技術です。非接触ICカードの通信および 機器間相互通信が可能で、機器を近づけることで通信を行うため、「かざす」動作をきっかけにした、わかりやすい通信手段として注目を集めています。
始まりはISO/IEC 18092(NFCIP-1)という国際標準規格で定められた通信技術に由来しています。このNFCIP-1の策定を機に、NXPセミコンダクターズ社 (旧フィリップスセミコンダクターズ社)・ノキア社・ソニーの3社が設立メンバーとなり、業界標準団体NFCフォーラムが発足しました。
NFCフォーラムでは、NFCIP-1に加え、既存の非接触ICカードとの互換性に鑑みて実装仕様を策定し、またこれら仕様を盛り込んだNFCフォーラムデバイスの認定プログラムを発足するなど、NFCの普及を推進しています。
非接触ICカードの国際標準規格ISO/IEC 14443に規定されるType-A, Type-Bの通信技術を、それぞれNFC-A, NFC-B、JIS X 6319-4にもとづくFeliCaの通信技術をNFC-Fと称し、NFCフォーラムでは、NFC-A, NFC-B, NFC-Fの3つの通信技術を等価に扱うグローバルな互換性を実現しうる仕様開発が行われています。
NFC関連で、ISO/IEC 21481(NFCIP-2)という国際標準規格もあります。こちらは、NFCIP-1、ISO/IEC 14443に加え、ISO/IEC 15693を包含したものです。ISO/IEC 15693は利用周波数こそ共通ですが、物流のRFIDタグの用途が主流です。
NFCのコンセプト

NFCには2つのコンセプトがあります。
一つは、国際的な通信互換性を提供すること、もう一つは、端末に形状の自由度を持たせることです。
世界各地で利用されている3つの異なる非接触ICカードの技術をまとめることによって、国際的な互換性を実現し、ユーザーの利便性の向上・市場の拡大・アプリケーション開発の促進、を図ることが目的です。
また、従来はカードとリーダー/ライター端末(店舗用端末など)に限定されていた非接触ICカード製品の形状に自由度を持たせ、携帯電話・PC・テレビといった民生機器に搭載することや、ID-1(クレジットカードのサイズ)以外の形状のシールタグとして提供することも、NFCの狙いの一つです。
FeliCaの通信技術であるNFC-Fは、NFCフォーラムが定める通信方式の一つとして定義されており、NFCデバイスは必ずサポートすることとなっています。
今後、普及すると予測されるNFC対応の携帯電話は、NFC-Fのカードやデバイスと通信できるため、海外でのインフラとしての広がりが期待されます。