NFCの定義

  • 一般的に

    既存の複数の非接触ICカードの通信規格を包含する他、携帯電話やウエアラブルデバイスなどに搭載されることを前提にして機器間のデータ交換などの用途を想定して規定された技術

  • 狭義として

    基礎となる国際標準規格ISO/IEC 18092(NFCIP-1)とISO/IEC 21481(NFCIP-2)

  • 広義として

    NFCIP-1に加え、互換性を確保するため業界標準団体NFCフォーラムが実装規格として規定するNFCフォーラム仕様も含むもの

NFCは、Near Field Communicationの略称で、13.56 MHzの周波数を利用する通信距離10cm程度の近距離無線通信技術です。非接触ICカードの通信および機器間相互通信が可能で、機器を近づけることで通信を行うため、「かざす」動作をきっかけにした、わかりやすい通信手段として注目を集めています。

NFC標準

始まりはISO/IEC 18092(NFCIP-1)という国際標準規格で定められた通信技術に由来しています。
その後ISO/IEC 21481(NFCIP-2)という国際標準規格において、NFCIP-1に加えISO/IEC 14443とISO/IEC 15693を包含する形に拡張されました。ISO/IEC 15693は、使用周波数は共通ですが、通信距離は一般的に他に比べて長く、物流のRFIDタグが主な用途です。

NFCIP-1の策定を機に、NXPセミコンダクターズ (旧フィリップスセミコンダクターズ)・ノキア・ソニーの3社が設立メンバーとなり、2004年に業界標準団体NFCフォーラムが発足しました。 NFCフォーラムでは、NFCIP-1に加え、既存の非接触ICカードとの互換性に鑑みて実装仕様を策定し、またこれらの仕様を盛り込んだNFCフォーラムデバイスの認定プログラムを発足するなど、NFCの普及を推進しています。

NFCフォーラムは、非接触ICカードの国際標準規格ISO/IEC 14443に規定されるType AとType Bの通信技術をそれぞれNFC-AとNFC-B、ISO/IEC 18092にもとづくFeliCaの通信技術をNFC-F、またISO/IEC15693の特定の通信技術をNFC-Vと称し、これらの四つの通信技術を等価に扱うグローバルな互換性を実現する仕様を開発しています。

NFCのコンセプト

*NFCフォーラムの資料より作成

NFCフォーラム仕様には二つのコンセプトがあります。

一つは、国際的な通信互換性を提供すること、もう一つは、端末に形状の自由度を持たせることです。

世界各地で利用されている三つの異なる非接触ICカードの技術およびRFID技術をまとめることによって、国際的な互換性を実現し、ユーザーの利便性の向上・市場の拡大・アプリケーション開発の促進を図ることが目的です。

また、従来はカードとリーダー/ライター端末(店舗用端末など)に限定されていた非接触ICカード製品の形状に自由度を持たせ、携帯電話・PC・テレビといった民生機器やスマートウオッチ等のウエアラブルデバイスに搭載したり、ID-1(クレジットカードのサイズ)以外の形状のシールタグとして提供することも、NFCの狙いの一つです。


※ NFCフォーラムType 1タグは必須要件ではなくなりました。

FeliCaと技術標準

FeliCaの通信技術であるNFC-Fは、NFCIP-1、JIS X 6319-4、およびNFCフォーラムが定める通信方式の一つとして定義されており、NFCフォーラムのユニバーサルデバイス、リーダーデバイスは必ずサポートすることとなっています。

世界に広く普及しているNFC対応のスマートフォンは、NFC-Fのカードやデバイスと通信できるため、インバウンドでの利用シーンの増加、および海外におけるインフラとしての広がりが期待されます。